第1518話 瞬発力ゼロ
「よく島の人間からは、成田と羽田の違いがわからんと言われる。本土の人間からは、エイサーとカチャーシーの違いがわからんと言われる。そんな俺は未だに、赤ワインの違いがわからん」
そんなことをラウンジのカウンターで話していると
「Tさんってそういうとこズルいですよね」
隣の谷やん(35・脳筋大王)が苦笑いする
「なんでズルいねん?」
「なんかそういう、五・七・五みたいな。3段落ちみたいな。そんな話し方ばっかりして。俺がもっと馬鹿に見える」
「そんな被害妄想!じゃあお前もそういう話し方すればええやんか」
ちなみに谷やんは、コンディショナーの減りが早いことに疑問を抱いた奥さんに問いただされ
そこで初めてコンディショナーとリンスの違いが分からず使っていたことに気付いたという、そんな話をしたのだ
だから続けて「違いが分からないといえば」的に、冒頭の話をしたのだ
「俺をズルいと言う前にお前が他の事例あげて、そのあとコンディショナーの話すれば良かったやんか」
「どーゆうことすか」
「例えばイモリとヤモリとか。カフェオレとカフェラテとか。みちょぱと安達祐実とか。それ言ったあとにその話するわけ」
「そんな咄嗟に思い付くわけないじゃないですか」
「いやだから。それを咄嗟に考えて話するから効果があるように思うんやろ?俺の話し方も」
「はあ、まあ・・・」
「お前の頭の瞬発力調べてやろうか?」
「はい」
「じゃあ、俺が言うものの例を挙げてみ?例えば『果実』ならリンゴ、とか」
「分かりました」
「ほないくで。『うお』!」
「さかな!」
「アホ?」
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