第1259話 年の功

19時過ぎに立ち寄った、神戸のとあるスーパー


レジに並んでいると、前で精算するお爺さん・・・70前くらいだろうか?


レジ担の40代の女性とは顔見知りのようで、世間話をしているのだが


レジは5列あって、どのレジにも5~6人並んでいるため


女性はお爺さんを邪険にもできないし、並んでいる他のお客様にも配慮しなきゃいけない


なので、普段の2人の掛け合いはどうだか知らないが


女性は顔を上げることなく、お爺さんの投げかけには生返事に見えた


するとお爺さんが


「なんや今日は綺麗やな!」突然女性に言う


「は、はぁ・・・笑」


レジの女性は、相変わらず顔を上げることなく苦笑い


爺「なんや恥ずかしいんか?怒っとんのか?アンタ、ワシのこと嫌いなんか?」


ちょうど全商品をリーダーに通し終えた女性が「◯◯◯円になります」と言うと


お爺さんは、現金チャージしている買い物カードだろうか、それを女性に差し出しながら


「なんや嫌いなんかいな・・・」ボソッと言う


女性はただただ苦笑いしながらカードを通すと


「有難うございました」カードをお爺さんに返す


自分の列も忙しいが、向かいのレジで揉め事?と思った隣のレジのおばちゃんがチラッと振り向く


お爺さんと目が合う


爺「嫌いなんやて〜」


おばちゃん「あらまぁ~」


次に背後の俺に振り向き


爺「嫌いなんやて」


そう言って正面に向き直り、去っていった


この一連の会話はおそらく、俺より後ろのレジ待ち客にはハッキリと聞こえていない


お爺さんが去り、俺の番がきて精算してもらう


レジの女性に一言「大変ですねぇ」とでも声を掛けようかと思ったが


彼女の表情が決して苦笑いだけではないことに気付き、あ〜こういう"息抜き"も必要なのかぁ〜と感じた


あのお爺さん、実は空気が読めていたようだ。

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