第1251話 孫との対話

夏場の話だが、カブトムシを取るために前日から泊まりに来ていた孫息子の海(かい9才・小3)と蝉の話になった


「セミって何で生きてるの?」という質問


ジージー鳴いてすぐ死んで、何のために生きてるのかと。


なかなか重要ポイントだ


まず言ったのは、地上に出て子孫を残すために生きてるのだということ


次に、地上に出たら10日くらいで死ぬけど、それまでに地中で7年も生きてきたのだからトータルすると結構長く生きてるよ、という話をした


土の中なんか真っ暗なのに何して過ごしてるの?と聞かれたので


たぶん蝉は土の中でも見えてるんじゃないかと答える


「じゃあ何で土の中では静かなの?」


「まだ音を出す部分ができてないから鳴けないんだよ・・・ていうかあれ、声じゃないけどね」


「あ、あれ声じゃないの?」


「あれは人で言うなら、おなかをパン!って叩いてるようなものかな」


「へー、でも何であんなにうるさいわけ?」


「沢山の仲間に見つけて貰えるように、うるさくして場所を教えてるんだよ」


「サキちゃんみたい」


「サキちゃん?女の子?何で?」


「いっつも大きな声でしゃべって、すっごくうるさい」


「あーでも、蝉の女の子は音を出せないんだなぁ」


「じゃあ仲間呼べないじゃん」


「周りの男の子が呼ぶからいいんだよ」


「サキちゃんは女の子ばっかり集めてる」


「そうなん?まあでも、蝉と人は違うからね」


「ふーん・・・サキちゃんの子供もぜったいうるさいわ」


「サキちゃんとは仲良いの?」


「サキちゃんが好きな男の子なんていない」


「え、なんで?」


「うるさいし。たたいてくるし。」


「あー笑 海くんも叩かれたん?」


「ぼくは叩かれないよ」


「海くんもサキちゃんキライなん?」


「きらいじゃない」


「あ、なぁ~んだ。うるさいから嫌いなのかと思ったわ」


「ううん、ぼくは守ってる」


「ん?守る?」


「サキちゃんを守ってあげてる」


「誰から?男の子から?」


「まあね」


「ほう、男前な蝉やな海くんは」


「蝉ちゃうわ!」


「サキちゃんは海くんに何て言ってくるの?守ってくれてありがとう、とか」


「ん~」


「ん?どした?」


「フェーあっちいけ、って言われる」


「はあぁ?何でよ笑」


「わからない」


おそらく孫息子はサキちゃんが気になっているが、サキちゃんは男の子っぽい女の子なのだろう


何かと近寄ってくる孫息子が鬱陶しいのか、フェー(蠅)呼ばわりとは笑


しかし孫息子よ、君はまだ1齢幼虫レベルだ。


地上に出るまでにはまだ、11年もある(あ、成人年齢18才に引き下げられたんだっけ)


これから修行を重ねて、ガンガン鳴いてアピールできるオスになれよ~



・・・で、先週日曜。


上の娘宅に荷物を届けにきた際、孫息子の声が聞こえたので玄関から声を掛ける


「海(かい)くん、海くん!」


「なに~」


「マンションの下で背の高い女の子がウロウロしててさぁ、どうしたのって聞いたら『◯◯海くんのおウチ探してます』って言うから、どちら様?って聞いたらサキちゃんって子でさぁ、連れてきたよ。いい?」


「え~~~っ!!えっ!えっ!えっ!なんで?!なんで?!ええ~~~っっっ!!!」


慌てふためく孫息子


「海くん、うそ!テッテレ~!!」


「・・・Fuck You!!!!」


(゚A゚;)

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