第1075話 軍団

事務所近くのドラックストアに、AM9時の開店と同時に訪れた


たまにびっくりするような格安商品を置いているのだ


この日、入って直ぐ右手の棚にタンニング(日焼け)オイルのコーナーがあって


その中に「カリフォルニアタン ヒーリックスX 130m」が格安で並んでいるのを発見


タンニングオイルは大体1000円前後だが、これは通常5000円する代物だ


それがなんと3割引!


「お一人様ひとつ」と張り紙がしてあるので、俺とイシくんは一本ずつ持ってレジに並ぶ


「なんかタイミング良かったな〜」と話しながら事務所に戻ってきたのだが


人気商品なので、今行けば格安で買えるぞ〜と事務所にいた連中に教えてやった


「あ、行ってこよう」

「俺も」

「私も行きます」


先発隊で谷やん(35)、大場(34)、坂下(30)


続いて森(24)、国仲(23)、高良(24)、事務のR嬢が、財布を掴みドラックストアに向かう


・・・数分後、彼らが戻ってきた


「どう?買えた?」


皆、袋を掲げて見せたので間に合ったようだ


最後にR嬢が戻ってきたのだが


「私、皆と離れて他人の振りしてました」と苦笑いする


聞けば・・・

俺もそこはうっかりしていた


先ほど俺とイシくんが訪れた際、背中にデカデカと社名の入ったオレンジのパーカーを着ていたのだが


そのあと赴いた男6人も同じく、社名入りオレンジパーカーを羽織っていた


で、少し遅れて入店したR嬢が棚を見ると


ちょうど店員が「お一人様ひとつ」の張り紙を外し


「グループ様ひとつ」に張り替えているところだった


「もう絶対買い占め軍団って思われてましたよ」


要らぬ売名をしてしまった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る