第1074話 見せられない現実

「昨年のハロウィンの前日にくり抜いたお手製のジャックランタン(くり抜いたカボチャ)を魔除けの意味で扉の前に置いてたら、翌朝お菓子だらけになっていたの。特にご近所とフレンドリーなお付き合いしてないのに・・・」


そんな話をしてくれたラウンジの女性Mちゃん


ご近所には独身男性しかいないのに・・・と仰る


なるほど、モテモテな貴女は知らず知らずのうちに好意を持たれていたのだね


お菓子が詰められていた翌日に「昨日はありがとうございました」と


御礼の手紙をカボチャに置いていたら、更に翌朝、その手紙が無くなっていたそうだ


ということは


「明日朝AM5時に起こして貰えますか」と手紙置いておけば


4時55分に玄関のドアがドンドン叩かれるのかもしれない


「今日◯◯でボディソープが特売だから買ってきて貰えませんか、お代は明日、払います」と書いておけば


翌朝カボチャの傍に置かれているだろうか


本場アメリカでは


くり抜いたカボチャは足が早いから、長持ちさせたいならラップして、夜は冷蔵庫に仕舞うらしい


それじゃあダメだ。


夜、外に置いておかないと素敵な会話が続けられないじゃないか


いや、もういっそのこと文通でいいのじゃない?


次のハロウィンを待ってたら一年後になるし、そこまで待てん


「先日のボディーソープ、有難うございました」


そんなことを書いて置いておけば、相手はこう出るだろう


「もっと泡立ってください」


手紙とともにライオンのハダカラが置かれているはずだ


彼女がアワアワになるところを想像しながら・・・ぐっふっふ・・・



『¥◯◯,◯◯◯』


値段の書かれたメモが俺の前に置かれる


はっ、と顔を上げると彼女だ


そうだ精算中だった・・・


お菓子の代わりに


ジャックランタンのようなその胸にこの紙幣を突っ込んで・・・はっ?!


いかんヨダレが。


孫たちよ


ジージは夜な夜なこんな感じだ。

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