第953話 若旦那

夕方、宿泊先の温泉宿でのPC作業を終えたあと


夕食前の運動がてら、旅館を出て温泉街の土産物屋を見て回っていた


6件目、小さな構えの店に入る


人形やら民芸品やら眺めていると、店番のお婆さんが


「キヨトさん?」


レジからこちらに向かって声を掛けてきた


ん?

誰を呼んだの?


顔を少しお婆さんに向けると


「キヨトさんですやろ?」


へ?

俺に言ってるの?


「誰なキヨトさんて」


レジの傍に立っていた別のお婆さんが、店番のお婆さんに声を掛ける


店のお婆さんA「ほら、呉服屋の若旦那やん」


傍のお婆さんB「えっ違うで〜、違うよねぇ?」


俺「あっ違います」


B婆「ほらちゃうやんか、あの息子さんは嫁さんと揉めて東京行きはったやん」


A婆「それは知ってるけど戻って来たんかなー思たんよ(・・・あっ?帰り辛いのとちゃう?!)」


B婆「(いちおう電話して聞いてみいな)」


A婆「ほんなら通報・・・」


B婆「シッ!(声小っちゃしいな!)」


勘違いも甚だしいですよ(-_-;)


面倒臭そうなので踵を返し、店を出ようとすると


B婆「あっ逃げ・・・?!」


旅館戻るだけです。


・・・部屋に戻ってきた。


あのあと通報したんだろうか呉服屋に・・・笑


「あの〜この辺に呉服屋さんてあるんですか?」


配膳の準備をしてくれている仲居さんに聞いてみた


「何件かありますよ〜。あっ、お着物お召しになるんですか?」


「いやいや、さっき土産物屋で呉服屋の人と勘違いされて」


「えっ?お着物じゃないのに?」


「なんか若旦那がどうとか」


「若旦・・・あ。」


「・・・似てます?」


「あっいえ、はて?どなたとお間違えになったんでしょうねぇ・・・」


なに?

若旦那は禁句なの?


アップルせいじん(♯33)以来モヤモヤする・・・https://kakuyomu.jp/works/16816927860625905616/episodes/16816927860685921561

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