第33話 誰?

俺はけっこう人まちがいされる


その昔、大阪の大川の河川敷を花見のロケハンで歩いていると


対面から、先生に引率された20人ほどの幼稚園児の集団がやってきた


そのうちの1人が、突然


「あっせんせい、アップルせいじんのひと~!」と俺の方向を指さす


ん?


指さされた俺は自分の背後を振り返るが、川しかない


あっ俺?


こういう年の子たちは、一人がそんなこと言い出すと、連鎖して同じことを言う


「ほんまやーアップルやー」

「アップルなにしとーん」

「ちがうでーいろがちがうもん」


俺を指さしながら好き勝手なことを言ってくれる


ほら、お仕事中だからバイバイしようね~と先生に促され


「アップルまたねー」

「ばいばいーアップルー」

「アップルちがう!いろがちがうもん!」


いちおう、手は振っておいた


未だにアップル星人が何者なのか分からない



福岡では、中洲で飲んだあと店を出て繁華街を歩いていたら


「やまさん!!やまさん!!」背後から大きな声がしたので振り向くと


サラリーマンの集団が、俺?に向かって呼び掛けている


「やまさんどこ行きよーと?」

「あ、やまさん違うっちゃん?!」

「どげんなっとーと・・・」


こっちが聞きたいぞ


いや、アップル星人とは「やまさん」かも知れんぞ・・・

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