第948話 操る

昨年の秋口あたりから、首筋から背中にかけての慢性的な張りに悩まされ


志賀直哉の「城崎にて」気取って、1か月ほど湯治の旅にでも出ようかなぁ・・・なんて話をU部長にしたところ


「こっちは大丈夫なので、是非行ってきてください」と言ってくれた


う~ん、ほんとに行こうかなぁ・・・


そんな訳で少し長めに部屋を空けるかもしれないと、上の娘と電話で話をしていると


スピーカーに切り替えたのか、孫息子の海(かい・小3)が電話口に出た


「ジージ、背中いたいの?」


「そうなんよ・・・ずっと痛いからさあ、温泉で治してこようかなって」


「温泉ってプールみたいなところでしょ?」


「ん~プールみたいに遊んだら怒られるけどね。お風呂やね」


「病院なの?」


「病院じゃないけどね。泊まるところにあるお風呂」


「泊まったらなおるの?」


「泊まって、温泉に入ったらね」


「泊まるところの、お風呂に入ったらなおるの?」


「まあ、そうね」


「どうしてジージのおウチのお風呂はダメなの?」


「ダメじゃないけど・・・」


「ダメじゃないのに泊まりにいくの?」


「ん~ご飯も作ってもらえるし、掃除もしてもらえるし、布団も敷いてもらえるし」


「・・・だれに?」


「温泉の人」


「・・・ママみたいな?」


「仲居さんって人がいてね」


「・・・なかいさんって、女のひと?」


「まあ、そうね」


「・・・なかいさんと泊まるの?」


「ちがうちがう、仲居さんは温泉の人」


「・・・なかいさんにお風呂でなおしてもらうの?」


「そんなことしてくれないよ。仲居さんってのは温泉で働くお姉さんで、」


「・・・かんごふさん?」


「違うよ~笑」


「・・・知ってるひと?」


「知らない知らない、だってまだ何処に行くかも決めてないし」


「・・・いつ会うの?」


「誰に?」


「・・・かんごふさんのお姉さん」


「会わないし看護婦さんじゃない笑」


「・・・会わないの?あ~空港からいっしょに行くの?」


「あの~、さっきから海くんさぁ、後ろのママに言わされてるでしょ?」


「あっバレた?でもママじゃないよお姉ちゃん」


小6こわっ( ̄▽ ̄;)

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