第783話 覚醒

客先の受付嬢が普段、3名でローテーションを組んでおられて


うち1人が、スッと立ち上がるまで分からなかったのだが、身長が180cmあって、なかなかの美人さん


ウチの大場くんの主催する飲み会にも時々参加してくれているようで


大場くん自身も185あるのだが、彼いわく「ヒール履いたら190越えですよ、あの子」


先だって、逆に俺が彼女の所属する会社の飲み会に参加させて戴く機会があり


本人から、背が高いなりの悩みなどを聞かせてもらいながら飲んでいた


そのうち彼女の、過去の恋愛話になった


165cmくらいの細~い彼と付き合っていた時に2人で訪れた、とある歴史建築物の中2階から


彼女は普通に階段から降りたのだが、その彼がふざけて2.5mくらいの高さの塀から飛び降りようとしたので


「危ないから階段で降りて!」と注意したにも関わらず


彼が「せーの!」的な感じで飛ぼうとするので


とっさに彼女は彼の正面に立ち、両手を広げたところ


アホなその男が、本当に彼女めがけて飛び降りてきた


「ええっ?!」


まさか本当に飛ぶとは思っていなかったから


ガッと彼の体を捕まえようとしたが、腰が引けていたので触れることもできず、彼は地面に激突


両足首を粉砕骨折したそうだ


「受け止めると思ったのに!お前のせいだ!!」


理不尽な文句を言われ、さすがに愛想が尽きて別れたそうだ


・・・という話を、同僚数人と会社近くのイタリアンでの食事中に披露したところ


食事を終え、店を出て階段を降りる途中で


「しっかしそいつ本当にバカだよなぁ~、本気でRちゃん(彼女)に受け止められようとしたの?」と


振り向きざまに話しかけてきた男の先輩が


「あっ?!」


足を踏み外し1階まで落下


右足脛骨(けいこつ)を粉砕骨折・・・


Rちゃん「それがあの(と離れたところに座る男性を指差し)先輩なんです」


俺「ちょっと待って?!ちょっと待ってよぉ・・・つまり・・・どーゆう事??笑」


R「この話聞いた人、みんな粉砕骨折するんです」


俺「ええっ!マジで?!笑」


突然叫んだ俺の声に、俺の真横で空いた食器を下げようとしていた店の女の子が


びっくりしてグラスを落とし、見事粉砕


「うっわ粉々・・・」


信じられないといった顔で彼女を見ると


「わたしホントに何かの力に目覚めたのかも・・・」


そう言いながら、こちらに背を向けて飲んでいる同僚営業マン・Mくんを凝視し始めた


な、何をする気ですか・・・(;´д`)

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