第774話 ブラインド

さっき乗ったタクシー


運転席と後部座席の間が、半透明の厚手のビニールシートで区切られていて


更にそのシートには「除菌・抗菌」「お忘れ物にご注意ください」等のシールが10枚ほど貼ってある


おかげで全く、前が見えない


「タクシーなかなか来なかったでしょ?」


「えっ?まあ・・・」


「お客さんこっちの人じゃないね」


ん?どこから見てんの?


「今週末から3日間◯◯の祭りだから。あちこち車だらけで。あ〜ほら、前のあれもね。皆◯◯向かってるんじゃないかなぁ」


あれってどれよ

見えないんだよ


「あ〜。あの橋もほら、進んでないでしょ?迂回します?」


どの橋だよ

見えないんだよ前

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る