第725話 内線電話

ウチの事務所入口の内線電話


ボードに、担当者ごとに名前と内線番号を表示してあるのだが


面識もない保険会社や派遣会社の子が


いきなりアタマ取れ!みたいな感じで俺に内線を入れてくる


「総合受付」と表示された番号がちゃんとあるのに。


それも特に女の子。度胸があるよ、男よりも。


代表が俺と分かって、鳴らしているわけですよ


そんな話を事務のM嬢・R嬢としていると


「あの電話機、何文字登録できるのかなぁ・・・」


独り言を言いながら金城くん(ウチの頭脳派)が受付の方に出ていった


ほどなく彼が戻ってきたので


「なに?なんか設定変えてくれたん?」と聞くと


「とりあえずTさんの名前は消しておきました」そう言って金城くんは席に着いた


それから数日後、自席で書類に目を通していると


ピロピロピロピロ~ンと俺の内線電話が鳴った


受話器を取る


「はい、Tですが」


「何がお楽しみだよ!ふざけすぎだろお前!笑」


聞き慣れた仕事仲間のJ社長の声だ


席をたち、受付に向かう


「お前なぁ・・・いくら何でも、これはふざけ過ぎだろ?」


「なに?何の話よ?」


内線電話を指差すJ社長


うん、俺の名前ないよね。消してもらったもんね。


J社長は受話器を取り、先日まで俺だった無記名の内線番号を押す


「シークレットキャラ!出てのお楽しみ~!!」


ディスプレイに文字が流れた



「いやまさか、名前もないのに掛けると思わないから・・・」


後に金城くんは言い訳していたが。



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