第709話 粉々

先日、とある商店街で


「野菜袋詰め!詰めた分だけ買えます!」のコーナーがあって


主婦の皆様が山のように群がってチャレンジしていた


それを見ながら思い出したのだが、下の娘が幼稚園に通っていたころ


商店街の、何屋さんだったか忘れたけれども


「子ども限定!チョコフレーク掴み取り!」というのを店頭で催していて


これまた子どもたちがわんさか群がっている


当然、ウチの娘も興味を示し「わたしもやりたい!」となったのだが


よく梅干しを漬けるような、よっちゃんイカが入ってるような透明のプラの容器


それの、もっと口が狭いやつというのか


その中にチョコフレークが詰まっていて


子どもたちは透明のビニール手袋をはめて、入り口から手を突っ込み


握れるだけ握って、引き上げるという流れ


ところが入り口が狭いものだから当然、引き抜く時には


掴んだチョコフレークの量を調整しなければ取り出せないという


よくあるパターンのやつだ


何人かののち、うちの娘の番がやってきた


殆どが小学生なので、当時4歳の娘は最年少だったと思う


特別に台に登らせてもらい、ビニール手袋をはめ、テープで固定してもらう


嬉々として右腕を突っ込んだ娘だったが


案の定、腕を引き抜く段になって、強欲に鷲掴みにしたチョコフレークが抜けない


「少し減らしたら?」と言うのだが、どうしても取ると言ってきかない


店のおじさんにも「お嬢ちゃん、それじゃあいつまでも取れないよ?」と言われ


悔しくなってきたのか、チョコフレークを掴んだままフリーズしている娘が、だんだん泣き顔になってくる


「ほら、早くしないと皆も待ってるし。あとでお菓子屋さんで買ってあげるから」


そう言うともう、娘は我慢ならなくなったのだろう


「わ~!」と叫びながら、掴んだチョコフレークを握りつぶした


すると腕が抜けた


「とれたよパパ(*゜∀゜)!!」


(,,゚Д゚)

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