第617話 盗難

御近所に、釣り好きのMさんという男性が居られて


行きつけの居酒屋でほぼ毎回、顔を合わせる


いつもタイヤの小さな、高級折り畳み自転車みたいなのに乗ってこられるのだが


飲んでいる間は、店先にチェーンを掛けて立てかけている


俺と同じくサトウキビ畑を抜けて帰るhttps://kakuyomu.jp/works/16816927860625905616/episodes/16816927861189999243 のだが


「自転車でも飲酒運転ですよ?!」とたしなめても


「大丈夫!農道だから!」


ふらふら~と自転車に乗って帰られる


先週初め、いつものように店で顔を合わせ、カウンターで一緒に飲んでいたのだが


たまたま帰るタイミングが一緒になる


先に会計をすませたMさんが店を出て、続けて俺が会計を済ませて店を出ると


暗がりの中で、ちょうど自転車のチェーンを外してらっしゃるところだった


「また乗って帰るのですか?結構飲まれてましたよ?押して帰ったほうが・・・」


「だ~いじょうぶ!じゃ、お先!」


Mさんは颯爽と自転車に乗っ・・・


「あ゛いっっっ!!!!」


またがりかけた自転車を放り出し、尻を押さえてピョンピョン跳ね回ったかと思うと


バタンと地面に倒れて悶絶している


「ど、どうしたんですか?!」


「サ・・・サドル・・・」


サドル?


投げ捨てられた自転車を立ててみるとサドルが・・・ない。


盗られたようだ


Mさんは剥き出しのパイプに刺さったらしく、まだ地面をウネウネして痛みを耐えている


てかMさん、ライトも無い。

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