第613話 戦闘中

♯609の、孫の夢の話で思い出したhttps://kakuyomu.jp/works/16816927860625905616/episodes/16816927863106803791


去年の10月だったか・・・


俺の運転する車の助手席で谷やん(脳筋社員1号)が寝ていた


お疲れのようだから運転を変わったのだ


低く「ぐぅー、ぐぅー」寝息をかいている


と、突然谷やんがガバッと起きて俺を見つめる


「レイ・セフォーだって腰痛持ちでしたからね・・・あれ?喋ってませんでした?」


「あんたぐーぐー寝てたがな。なんだレイ・セフォーって。K-1?」


「あ、やっぱり喋ってました?」


「レイ・セフォーは確かに晩年、腰痛持ちで試合に出なくなったけどな」


「いや、80才くらいのTさんがウチの整体に来て『腰痛い〜腰痛い〜』ってうるさいから」


「なんやお前が先生かいな」


「はい、だから若い頃に鍛えてた人ほど腰悪くしますよ、って言ってたんです」


「うるさいって言うな笑」


「だってめっちゃ元気に喋りまくるんですよ、もう眠れなくて」


「寝とったやないか笑・・・まあ、まだ1時間ほど掛かるから寝とけよ」


「すみません、あざす」


数分後


いつの間にかコックリコックリ、また寝落ちした谷やん


今度は俺は、睡眠の邪魔をしてないようだ


あしたのジョーがコーナーの椅子で死んだように眠るラストが有名だが


まさにそんな感じで幸せそうに寝入っている


信号待ちで横を見ると


徐々に谷やんの右手の握力が抜けていくので、スマホが今にも落ちそうだ


ところが突然


ビクッとしたかと思うと、谷やんが右手のスマホをひょいと投げた


ごんっ。


目の前のインパネに当たって助手席の床に落ちるスマホ


はっ?!


目を覚ました谷やん


「何してんの笑」


「いや、手榴弾の・・・」

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