第593話 多分こいつ、人のフリしたタヌキなんです。

そう思うことにした。


いまさら教育とか、無理な気がする。


予兆はあった。


客先打ち合わせ後の会食で、相手先のK専務が


◯◯社の○○社長が最近、EDで悩んでいるという話を始めた時


「エレクトリカルドリームでしたっけ?」


谷やん(脳筋社員1号)がこそっと聞いてきた。


そんなステーキハウスでの会食も、気付けば4人でワイン5本が空く頃


会社経営とは何たるかを説いていたK専務が


「兎にも角にもね、会社のコンセンサスが大事」と仰る


「あっ、ウチもこのまえコピー機動かないスね~って修理呼んだら、ねえ?掃除の時か何かに引っ掛けてたんでしょうね!あれは恥ずかしかったっスね」


専務の発言に反応した谷やん(34)が俺に同意を求めてきたが、一瞬なんのことだか意味がわからない


続けて専務が


「あなた方も私共もステークホルダーなんだから。どんどん行かないと」


そう言って身を乗り出してこられたので


「あ、まだ入ります?じゃあ~・・・300ぐらい追加します?」


メニューを開く谷やんを見て


「あっ、冗談ですよ?!」苦笑いしながら正面の客先2人に言うと


「えっ?300(グラム)無理っすか?」我々を見渡す谷やん


もう山にお帰り。



○コンセンサス(合意) → コンセント刺す(多分そう思ってる)

○ステークホルダー(利害関係者) → ステーキ大食いの人(多分そう思ってる)

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