第580話 アイス

新大阪から博多に向かう新幹線


俺は左側2席の窓側に座っていた


イヤホンで歌を聴きながら、窓の外をボーっと眺めていたのだが


ふと右手に気配を感じ、振り向くと


右の空席にポテンと


どう見ても先程まではそこに無かったアイス?の欠片が乗っている


ん?と目線を、通路隔てた右手の2席に向けると


初老の御夫婦らしきお二人が乗っているのだが、通路側の女性が、俺に何やら言っている


イヤホンを外したところ、「ごめんなさい~!!」と謝っておられる


・・・そこで気付いたのだが


女性の左手にはアイス、右手には紙製?のスプーン


「すぐ拭きますから!もうほんとに、溶かしてたんですけど、固くて!」


・・・飛ばしたんかい

ここまでバンカー越えかい


ふと奥の男性を見ると


マスクをしてよく分からないが、窓の外を見ながらヒクヒク肩が震えていた

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