第512話 共用部のトイレ
事務所を現在のビルの3階に引っ越しした当初は
共用部のトイレが、何故か男子便所だけまだ「温水洗浄便座」ではなかった
なので速攻「ウォシュレットか何か付けとけ!」とU部長に指示したところ、数日で綺麗な洗浄便座に変わった
綺麗になって間もなく、小をしにトイレに行くと、ちょうど大の個室でシャーッという洗浄の音がしている
ほどなく個室から出てきたのは、同じフロアに入る税理士事務所の男性
男性が洗面台で手を洗う横で、俺も手を洗いながら
"俺らが勝手に替えたとはいえ、気持ち良くシャーシャーされて礼もないってのはどうやねん・・・"
そんなことを考えながら正面の鏡越しに隣の男性を、睨むまではいかないが、じーっと見ていた
その俺の視線に気付いたのか、男性が顔を上げ、鏡越しにチラッと俺を見てすぐに目線を逸らし、そそくさとトイレを出て行った
替えたの俺らって知らないだろうけど。少しぐらいありがたく感謝しろよ?
・・・という一部始終を、事務所に戻り事務のM嬢に話した
「別に構わんけど。俺らが設置してやったのにシレッと気持ち良く使われてるってのも、何か腹立つやろ?」
ですよね~と笑いながら同意してくれるものと思っていたM嬢に
「ウチ何もしてませんよ。ビルの管理会社が設置したのでは?」と返され
自分の思い込みと心の狭さを恥じました
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