第489話 足音

俺の後ろを歩く人の足音が、ずっとカポンカポンいうので


男か女かもわからないが、振り向くのもなぁ・・・と思いながら歩いていた


同じ歩幅・同じスピードなのか、ずーっと等間隔で後ろを付いてくる


雨が降っているのもあるのかな・・・


いうなれば小さな子がお父さんの革靴履いて遊んでる、みたいな音


横断歩道に差し掛かったところで信号が赤になる


ようやく、音の主が左手に現れた


先が長く尖り、ヒール面が小さくすぼんだおしゃれブーツを履いたサラリーマンだ


どうやら先程から、どこかのタイミングで俺を追い抜きたかったようだ


歩行者側の信号が青になると同時にサラリーマンは走りだし


かぽっ、かぽっ、かぽっ、かぽっ・・・


馬のギャロップのような音で走り去って行った


ところで。


「ぽ」という文字をじ~っと見ていると


なぜこれを「ぽ」と読むのか、頭が混乱してきた


「ぬ」でも思ったことがある・・・何故これが「ぬ」なのかと。

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