第481話 恥ずかしい父親

男の行動がいちいち幼稚で、彼女が「もうやめてよ恥ずかしいから!」と注意している構図を


皆さんも1度は、見かけたことがあるのではないだろうか


大阪から三ノ宮(神戸)にむけてJRに乗っていた


俺は進行方向左手の、扉が開閉する隅に立っている


進行方向右手のシートに、父親を真ん中にして、右手に幼稚園くらいの女の子・左手に小4くらいの女の子が座っている


父親と右手の小さい女の子は、先ほどから手遊びというのかな?・・・をやっている


覚えている限りでは、こんなやつだ


「チョキチョキダンスをみんなでおどろう タタッタ タッタッタ イェーィ!」


ああいうのって、微笑ましく見えるかそうでないかは紙一重というか


声の大きさや動きの大きさも関係してくる


目の前で繰り広げられているチョキチョキなんとかは、電車の中ではちょっと・・・という感じだ


そのうち父親が左を向き「ほら、お姉ちゃんも!」とチョキチョキふりふりを促す


「やめて」


「なんで!ほらやろう!」


「やめてって」


「あれ〜お姉ちゃん恥ずかしいのかな〜ほらほら」


「やめてよ!」


父親は完全に我が子の精神年齢を見誤っている


右手の妹の方を向き「お姉ちゃんに怒られた〜うえ〜ん」と泣き真似を始めた


ウザい父親・・・


お姉ちゃんは、自分の父親が恥ずかしいやらなんやらで、もうどうにも我慢ならなくなったのだろう


可哀想に、声も上げずに泣き出した


それを、まだ泣き真似をしている父親越しに気付いた妹も


「お姉ちゃんが・・・」と言って、これまた泣き出した


つまり、嘘泣きを挟んで3人が同時泣き、の図になった


異変に気付いた父親


泣き真似をやめ、はっと顔をあげると両脇の娘が泣いている


「おいどうした?あれ?どうした??」


両脇の娘の背中を叩いてオロオロする父親に、乗客全員の冷たい視線が向けられる


「あんたのせいや!」


一斉にツッコミを入れる、心の声が聞こえてきた

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