第367話 チェック

俺は「気にしぃ」だ


典型的なA型というのか・・・家を空けることが多いので、出掛ける時のチェックはもう、厳重だ


「消した・消した・消した・止めた・消した・・・」指差して各所を確認するのだが


確認した1秒後に、また同じ確認をする


自分の目が疑わしいというのか、何というか


で、もういいだろうと出掛けようとして、はたと足が止まり、いやもう1度、と


今度は逆から確認する


さあ、もういい加減自分を信じて出発!と玄関で靴を履く


・・・履きかけて、いややっぱりもう1回だけ見ておこうと部屋に戻る


毎回こんな感じだ


前に、何度もチェックしたにも関わらず、留守をした3日間クーラーを付けっ放しだったことがあったので


それ以来、更にチェックが厳しくなったのだ


日常、自分で自分をこれだけ信用できないってのも、どうかと思う


車もそうだ


ライトは付けっ放しじゃないか、ギアはP位置にあるか、車内に忘れ物はないか


一旦ドア閉めて、また開けて中を確認し、また閉めて・・・を繰り返す


こんな俺だが


「あっTさん車のキー!」

「財布!財布!」


家以外ではグダグダだ


スーパーのセルフレジで、ピッとしたあと棚に忘れてきた商品の数々。


「お客様!パン!」支払いだけして立ち去ろうとしたり。


こうなったら自分自身にも指差し確認すればいいのだ


「持った・入れた・持った・・・よし。」


そうしてマンションを後にしたは良いが、何か引っかかる


全てチェックし終えた筈なんだが、何か違和感があるのだ・・・


立ち止まって考えてみる・・・ああっ!!


なんで俺は最寄りのスーパーに行こうとしとるのだ


今からフライトで那覇空港に向かうというのに


「甘えん坊」エコバッグに財布だけ入れて、肩に下げていた。

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