第340話 これぞ関西

出張で神戸に赴き、翌日はふらっと海釣り公園に寄ってみた


朝6時から粘っていたが、何も釣れぬまま昼近くになる


俺の10m隣で投げ釣りをしていたおっちゃんが


「どう、釣れる?」と近寄ってきたので


「いや〜全くですわ」と答える


「しっかし兄ちゃん真っ黒やな!現場の人?」


「ええ、まあ」


「今日(水曜)なんか、よう休めたなぁ?」


「まあ・・・」


「何処の現場?山のほう?」


「あ、いや、海のほうっちゅうか」


「あ!◯◯さんとこの倉庫ちゃうか?」


(そんな狭義な話?)


「いや、大阪の・・・泉大津の(全くデタラメ)」


「あ〜二色の浜か?」


「まあ・・・そうっす」


「あそこらは安っすいやろ〜あんた子供おんの?」


「子供ですか、はい」


「何人おんの?」


(面倒臭さ・・・)


「13人すね」


「はぁ?!13人おんの子供?!」


「まあ、そうっすね」


「びっくりダディーみたいやな!生活費、全然足らんやろ?!」


(びっくり・・・)


「全然足らないっスよ」


「ほな釣りしとる場合ちゃうやろ〜!」


(放っとけや)


「ちゅうかおっちゃん、もう釣りせんの?」


「魚なんか来んやろ!今日は!みんな!」


(一緒にすな・・・)


「おっちゃんは今日、休みなん?」


「ワシか?ワシはもう毎日休みやがな」


「じゃあここ、いつも来てるんスか?」


「げつ、かー、今日・・・もくは教室や。きん、どー、にち、週6やな」


「週6日!凄い!もうヌシですやん!」


「言うほど釣りは上手ぁないけどな!」


「そうなんすか?・・・教室って、なんですの?」


「パン。焼いとるの。」


「は?パン?・・・おっちゃんが?」


「そや。似合わん言いたいんやろ。クロワッサンなんか凄いで。ワシのひねり。3回転こむら返りや」


(・・・。)


「まあパン頑張ってください。俺、もう少し粘りますわ」


「あ!ごめん邪魔してもうたな、ほな」


「どうも。」


と、離れかけたおっちゃんが振り向く


「◯◯さんの倉庫、紹介したろか?」

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