第310話 芸術とは。

孫たちのパパは現在32歳で、いわゆるアメリカ人との島ハーフ(日本語は話せるが英語は全くダメ)だ


そんな彼が小学6年生の頃


「あなたなら沖縄に、どんな列車を走らせたいか」というテーマの、学内絵画コンクールがあって


彼は


青い海がベースの車両に色とりどりのサンゴをを描き、車両の先頭からティーダ(太陽)の光が降り注いでいる・・・そんなデザインで優秀賞を貰ったそうだ


後に全学年参観日に、全生徒の「列車」が貼り出されたのだが


彼の絵は、何故か・・・


「いやっ」

「あらぁ・・・」


ひとこと残して去る母親もいれば、顔を赤らめてその場から立ち去る母親もいて


優秀賞ってリボンもついているのに何故か不評っぽいけど、なんでだろう・・・


首をひねっていると、いつの間にか来ていた自分の母親に休み時間、手招きされた


「ちょっと教えて。列車の先頭にまたがって乗ってる女の人は、誰?」


「おかぁだよ」


「ふ〜ん、あのね。他の人には、乗ってるの、わん(わたし)って言ったらダメよ」


「え、どうして?」


「どうしてもさ!」



その日の真相は、のちに彼が高校生になり、小・中と一緒だった友達から明かされた


「・・・えっ!描いた本人があの話を知らんって笑」


「なんだよ?ずっと気になってたんだよ教えてくれよ!」


「お前、あの絵に付けた題、何だった?」


「え?『エキゾチックジャパンはみだし号』だけど」


「あのさ。頭から光って(太陽)血管浮き出た(サンゴ)エキゾチックジャパンな"ハミ出し"号に、女性がまたがってるんだぞ?」


「・・・あ。」


芸術とは、そんなものだ。

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