第206話 裏の顔

下の娘からLINEがあり、ちょっと相談があると言うので仕事帰り、ウチに寄らせた


「あのね、Rちゃんがね、辞めたほうがいいかな、って言うのよ」


Rちゃんとは、2020年4月からウチに来てくれている事務員の子だ


娘と同い年なので、なにかと2人は連(つる)んで仲良くしているようだ


「え、なんかあったん?」


「うん、あの子の元彼がね・・・といってももう、一昨年別れてるらしいんだけど。何かと連絡してくるみたいなんよ」


「ほう」


「でね、家の近くにきたり、今働いてるところに行く、みたいなことを言ってくるんだって」


「なんやそいつストーカーかいな。復縁迫ってるってこと?」


「そういう感じというよりは、嫌がらせっぽいみたい」


「で、なんでそれで辞めたいってなるの?」


「いや、だから実際来られたら皆に迷惑掛かるかも、って」


「んなアホな笑 そんなこと気にせんでええやろ笑」


「気にするでしょーそれは。だけどそんなこと会社に言えないから、私に話してくれたんだけどね」


「そんな奴、父さんところに連れてこいって。身内にそんなことしたらどうなるか教えたるわ」


「ほらそう言うじゃん。そうじゃなくてもっと、ちゃんと解決してあげないとさ」


「ちゃんとって、どんな?」


「いやだから、ちゃんと話付けてさ。」


「あのな〜父さんそいつに拷問するわけじゃないぞ?」


「わかってるけどさぁ」



・・・というわけで、ちょっと娘に一任することにした


それから2週間ほど経った頃に、それとなく娘に経過を聞いてみた


「・・・あ、それとっくに終わったよ」


「え?どういうこと?」


「近付かない・連絡しないって一筆書かせた」


「え?誰に?相手に?!」


「そうだよ」


「誰が?」


「私に決まってんじゃん」


「ちょい待ち。穏便に済ませたい、みたいなことを父さんに言わなかったか?」


「だから穏便に済ませたんだよ」


娘が俺に相談してきた日の数日後から、時々Rちゃん家で泊まるようになった娘は


ある日Rちゃんにその男を呼び出させ


男が家に来たところを部屋に連れ込み、こんこんと説教し、2度とストーカー紛いのことをしないよう一筆書かせたとのこと


う〜ん、にわかに信じられん(-_-;)


「相手、大人しく言うこと聞いたん?」


「うん。」


ホンマかいな・・・


この話を聞いてから、もし娘が何か拙いやり方をして、相手の男が逆怨みなどした場合、それはそれで大ごとになるかも・・・と不安を覚えたので


思い切ってRちゃんを呼んで、聞いてみることにした


「ごめんやで。実は娘から君のことで前に相談を受けた事があって、そのときに『父さんが出たらRちゃんが気にする』って止められたんよ」


「あ、Aちゃん(娘)から伺いました。もう本当に、御迷惑お掛けしました」


「あっ聞いた?娘が言うには、穏便に解決したって言うんやけど・・・ホンマ?」


「穏便!!笑笑」


「え、違うの?」


「いえ、ちゃんと解決してくれました!もう凄かったです笑」


「え?なに?凄かった?」


「あ、いやあの・・・言っていいのかな・・・」


「なに?なに? あとあと問題になって君に迷惑掛かることになったら困るから、聞かせてよ」


「迷惑なんて掛からないですし、あの男、ビビって2度と顔見せないですよ」


何をしたのだ娘よ・・・


「ちょっと聞くのが怖い気もするけど・・・何があったの?」


「あの、Aちゃんのこと怒らないであげてくださいね、私の為にやってくれた事なので・・・」


ますます聞くのが怖い(;´Д`A


「相手をですね、椅子に座らせたあと、いきなりバン!!ってテーブル叩いて」


・・・叩いて?(;´д`)


「ウチのオヤジが沈めるぞテメェ!!って」


Σ(||゜Д゜)ヒィィィィ!!!!


そんなキャラだったか???


てかめっちゃダシに使われてる・・・

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