第204話 男の闘い

先ほどのジムのフル◯ン男について・・・俺もあまり、人のことを偉そうには言えない


沖に出て、周りに誰もいない(他の船がいない)ことを確認すると


帆を張り、風を受けながら、フル◯ンになる


甲板にシートを拡げて、日焼けタイムのスタートだ


1時間弱を掛けてウラおもて、隅から隅までを万遍なく焼く


2年前の話だ


いつものように海上に誰も居ない事を確認し、焼きタイムに入ったのだが


もう午後2時前だし魚も来んだろうと、ムロアジを針に掛けたまま置き竿にしていた


たまに竿先を確認しながらフル◯ンで焼いていると、突然


グイングイ〜ンと竿がしなるのが見え、慌てて飛び起きる


竿受けから竿を外し、大きくフッキングさせる


パンツなど履く暇がないのでフル◯ンのままだ


ググググイイイィン!!!


凄まじい引きだ

ヤバい、相当サイズあるぞこれ・・・


と、いきなり凄まじい力で竿が海底に引き込まれる


「痛っ!痛ぁーっっ!痛ったあああぁぁぁっ!」


船べりがちょうど、釣竿ではなく俺の「竿」の上あたりに位置するのだが


引きが強すぎて股間がグイグイ押し付けられる


「あか〜ん!痛い痛い痛いぃぃぃ!!」


一瞬左手を見る


脱ぎっぱなしのパンツは遠くて取れない


いっ・・・痛いぃぃぃ!

あかんパンツ履きたいぃ・・・!!


と、また強烈な引きが俺の股間を襲う


股間が船べりにバンバン当たり、グイングイン押し付けられる


痛たあああああぃぃぃ!!!

おふぅ・・・あっ!!ちぎれ・・・!!

あっ!おうっ!おふうっ!痛い痛いぃぃ!!


あっ!!

魚が右に泳ぎ始めた!!


あかん、耐えられん!!動かな!!


竿を離すまいと必死に握りしめたまま、船の右側面を船尾方向に引き摺られていく


痛った!!痛った!!痛いっっった!!


俺のポークビッツ&がんもどきが船べりに擦られる


ちっ・・・ちぎれる・・・!!!


それでも魚は攻撃の手を緩めない


グイングインと右へ、さらに深海へと、竿ごと俺を引き込む


凄まじいファイトを繰り広げているこの瞬間、釣り番組なら手に汗握るシーンなのだろうが


フル◯ンだからな・・・


数分後、凄まじい引き込みがようやく止まる


押し付けられ、擦られ続けていた股間を覗き込んでみると


縦横無尽にミミズ腫れし、ところどころ皮が剥けていた


"もともと剥けているところ"も、皮が剥けて血が出ている


股間に凄まじい鞭打ちの集中砲火を喰らったかのようだ・・・


あっ!!

今度は左に動きだした!!


弱ったんじゃなかったのか・・・あかん、もう耐えられん!!


また船べりに真っ赤な股間を押し付けながら、船尾から船首へと引き摺られ・・・



のちに時計を確認すると、フル◯ンファイトは優に15分を超えていた。


カンパチ37kg。まあまあ立派なサイズだ


血だらけになった股間をシャワーで洗い流すと、打撲・擦り傷・切り傷・ミミズ腫れ


歴戦を闘い抜いた勇者のような股間だった


折角だからフル◯ンのまま、カンパチと記念写真を自撮りしたが


なんか俺が魚を使って怪しいプレイをしているようにしか見えず


誰にも見せる事なく、今もスマホに眠っている

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