第203話 何故そっちに行った?

普段使いしているジムにて


重負荷筋トレを終えたあとスマホを見ると、事務所から「戻るように」とLINEが入っていたので


隣接するプールで泳ぐつもりであったが、切り上げて帰ることにする


シャワーを浴びてロッカーで着替えていると


プール側から、ぽっこり腹の出た、40代の真っ白い肌の男性が出てきた


なんというか、たまに居るが「俺、鍛えてるぜ・・・」の陶酔感に浸ってる奴。


彼もその類いだ


立ち鏡の前に立ち、右・左と体を捻りながら、自分の体をイケメン目線で眺めている


うっわ〜世界に入っとるね〜


まあそれは個人の自由だから一向に構わないのだけど。


俺がズボンを履いていると、彼は7つほど離れたロッカーを開ける


苦しそうに腹が乗っかっていた「ぴっちり競泳パンツ」を脱ぎ捨て、フル◯ンになる


フル◯ンのまま俺の背後を通り、出入口横にあるトイレに向かっていく


男同士なので別に構わんが、タオルくらい持って隠して行きゃあ良いのに・・・と思いながらシャツを着ていると


彼がトイレに消えた辺りのロッカーで着替えていた数人が


「うっわ出て行ったよオイ・・・」と出入口を見たまま手が止まっている


どうやら


フル◯ンの彼は、トイレではなくドアを開け、ジム(男女兼用)のほうに出て行ったらしい


4秒ほどしてフル◯ンが慌てて戻ってきた


そのままトイレに駆け込む


扉の向こうで「わぁー!」とか「きゃー!」とかは聞こえなかったが


4秒間、どういう状況だったのだろうか・・・

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