第201話 呼ぶなよ

事務所の入るビルの、3Fの共用トイレの個室にいた。


出すものは出し、洗浄シャワーで洗っていると、トイレのドアが開き、誰かが隣の個室に乱暴に入ってきた


慌ててズボンを下ろす気配がして、次の瞬間、とてつもない爆裂音が響く


よほど我慢してたんやな・・・

そう思いながら俺はカラカラとロール紙を引き出し、拭き作業に入る


隣ではまだ微かに「んんん・・・ううう・・・」と唸る声がする


なんかこういう場での隣の気配って嫌だ・・・知りたくもない


尻を拭き終えた俺は立ち上がり、ズボンを上げる


ベルトを締めながら「んん。」軽く咳払いをする


「・・・たはらさん?」突然隣から呼ばれた


は?


数秒後「たはらさんじゃない?」


いやなんで2度聞く?


俺の咳払いが誰かに似ていたのか知らんが、1回で返事しないんだから違うだろ・・・


俺は返事せずそのまま個室を出て手を洗い、トイレを後にしたが


「よこやまくん?」とか返せばよかったか?

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