第30話 神戸サ◯ナ

先日、飲んでいて隣のお客様とサウナの話になった


むかし神戸に住んでいた頃は


さんざん飲んで、帰るころには午前2時‬や3時になることが多く


タクシーで帰るのも面倒なので


神戸サ◯ナというカプセルホテルで朝まで寝て、出勤することが多かった


ところが、あることを境に一時‬期、足が遠のいた


ある夜


詳しい時間は覚えていないのだが、施設に入ったのが午前3時‬前だったと思う


大浴場に入るのも危ないくらいフラフラだったので、

まっすぐ指定されたカプセルへと向かう


通路の左右に、二段構えのカプセルがズラッと並んでいる


その日は上段を指定されていたので、ステップに足を掛け、落ちないように頭からカプセルに突っ込む


カプセル内で仰向けになり、仕事着のまま寝落ちする


どれぐらい経ったか・・・


体全体に重さを感じて目を開けると、そこには鈴木宗男みたいなオッサンの顔


いつの間に入ってきたんや・・・?

驚きはしたが


へべれけに酔っぱらっているので、「あっ!」とも「えっ!」とも反応できず


目を開けた俺にオッサンは、自身の口元に人差し指をあて


「お兄ちゃん、シーッ、やで・・・」


そういって何やらゴソゴソ動きだした


俺はもう、ただただ眠たかったので、もうええわ・・・そのまま寝落ちした


翌朝。‬


AM7時頃に何とか目を覚ます‬


まだぼんやりしていたが、「あっ昨日、確か・・・?」下半身に目を向ける


う~ん・・・

寝る前と何も変わらない様に見えるが・・・


何か・・・

されたのだろうか・・・


とりあえず大浴場に向かい、時間をかけて入念に身体を洗う


そういう話を噂には聞いていたが、まさか実際、自分が「される」とは。


このことがあったので

暫く神戸サ◯ナから足が遠退いたのだ


その後、1995年1月に神戸大震災が起きる


神戸サウナは全壊したが、幸運にも新たに天然温泉源を採掘することができたそうで


1997年4月、神戸サ◯ナは完全新装オープンした


2000年に入り、俺の過去の忌まわしき思い出も風化したころ


連れに誘われ、8年振りに神戸サ◯ナを訪れた


その日も結構な勢いで飲んでいたため、あまり記憶はないが


その日は先に大浴場に入り(以前の施設とは打って変わり、スポーツジムやジャグジー、その他リラグゼーションの充実に驚いた)


〆の生ビールを2杯飲んでからカプセルに向かう


今回は下段だが・・・あれ?扉なんて付いてたっけ?


あっ、もしや!

忍び込まれ防止策が採られたのか?


ちなみに、カプセルに頭から突っ込むのは楽なんだが


足から突っ込むのは、尺取虫みたいにクネクネ入らなねばならん(ていうか中で身体丸めて反転すりゃ良いのだが)


しかし俺はもう眠い限界・・・


目が閉じかけながらも、足からクネクネとカプセルに入り、後は憶えていない


(( _ _ ))..zzzZZ


(( _ _ ))..zzzZZ


(( _ _ ))..zzzZZ


(( _ _ ))・・・・・・・∑(゜Д゜)!!!


突然、顔面に強烈な痛みを感じて目を開けた


なに?!

なに〜っ?!


パニックになったが、眩しくて目が開けられない


次の瞬間、頭にガン!

Σ(゜д゜lll)!!!


衝撃を受け


続けて顔面にもゴン!

∑(゜Д゜)!!!


強烈な何かが乗ってきて、離れていった


「なんやこいつ!」


「邪魔やのぉ!」


数人の声が遠ざかる


頭部に受けた猛烈な痛みに、完全に目が覚めた


俺は肩から先、カプセルから通路にはみ出ていた


入る途中で力尽きたようだ・・・


それに気付かぬ酔っ払い客が次々と俺を蹴り・踏んでいったという次第


それ以来、神戸サ◯ナを使うことは無くなった

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