第25話 子ども扱い

沖縄には焼き魚の習慣がない


マース煮という、塩と泡盛で煮る食べ方はあるが、塩を振って焼くのは稀だ


理由としては、脂の乗った魚が少なく、焼くとパサパサして味も淡白だから、だそうだ


そうは言っても美味い魚は美味い


ツムブリという沖の魚などは、脂の乗った冬場など、塩焼きは絶品だ


先日、波止で孫息子と釣った小魚たちを持って帰って食べることにした


キッチンで、捌いた魚に塩を振っていると


「ねえ、なんでいつも塩かけるの?」


孫息子の海(かい・小2)が聞いてくる


「何でって、塩焼きにするから」


「ずっと海で泳いでたじゃん」


「は?」


「塩、ついてるじゃん」


「あー。それはまた違うんだなぁ」


「何がちがうの?」


「うーん、まあ、ほら、海くんも裸では外に出ないじゃん?」


「?」


「外には服着て出掛けるでしょ?魚も食べる前に色々まとわせるというか・・・まとわせる、って分からないか」


「それは、魚に服を着せてるってこと?」


「まあ、うん、そんなとこ」


「ふっ・・・」


鼻で笑った海はテレビの部屋に行ってしまった


だって小2よ?


魚は体内で塩分分解し排出して濃度を調整する、なんて説明、難しいと思うじゃん?

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