第5話 禁じ手

漁協の職員を中途採用することになり、面接官として参加して欲しいと言われた


当日、役員と俺、採用する課の責任者が面接官として同席したのだが


肝心の、面接を進行する46歳の女性の人事課長・石川さん(仮名)が急用で戻れないため


彼女は出先から自分のスマホでリモート参加し、3名の一次合格者と対面することになった


彼女が映る予定の大型モニターの両脇に、役員と俺が左手・課の責任者が右手に座る


3人の候補者は、モニターの正面に並んで座る予定だ


開始15分前。


我々は順次、席に着く


同じタイミングでモニターに女性が映った


「えっ誰?」俺は思わず声が出る


「石川です~ご無沙汰してます~」


めちゃくちゃ補正掛かってるやないか(ll゜д゜)


「なんかキラキラ光ってる・・・」役員が小声でつぶやく


向かいの責任者は彼女を凝視できない


「あれ?皆さん大丈夫ですか?」


モニター越しに彼女に聞かれ


「大丈夫で~す」声を揃えて返答したが


向かいの責任者は下を向いて必死に笑いを堪えていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る