第2話 12月23日の洗礼  

第二章 困窮妻

第一節 拒絶



 12月23日、2人目の来訪者。


 「今日はどういったご相談でしょうか」


 「生活費が足りなくて、2人の子供を育てられないんです。辛くて」


 「洗礼は受けていかれますか?」


 「あ、いえ、今日はやめておきます。お金もないし。


ただ神父さんに話を聞いて欲しくて」



 「神様と一つになれば、お金がどんどん入ってくるでしょう。


今後の生活も安心できるものになるでしょう。


お子様も健全にお育ちになるでしょう」


 ♧   ♧   ♧   ♧   ♧   


 洗礼を受けることにした中年の女性信者は、素直に応じることなく、


「恥ずかしい」

「そんなことできない」


などと敬語を使わずに拒否し続けた。

 

 ■  □  ■  □  ■  □  ■  


 受付嬢が中年女性に触れて安心感を与えながら促し、


どうにか儀式を進めようとするが、


「いやーだ」

「そんなことできないよ」


などと拒否の連続であった。

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