楽園の咆哮

冨平新

第1話 邪気を放つ教会

第一章 歓喜



 山脈が見渡せる、豊かな田園風景の景観に、


不気味な邪気を漂わせているダレム教会。 



 このダレム教会は、キリスト教の亜流、


ダレム教の信者たちが集う、ニュウベラス県ピュク町にある教会である。

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 クリスマス前のこの時期、


イエス・キリストを唯一の神として崇める教会関係者は、


クリスマスの飾りつけに、いそしんでいた。

 


 「今年もいよいよですね」


 「1年のうちで、最も喜ばしく幸せなときが、今年もやってくるのですね」


 「神の御生誕の喜びに奉仕できることこそが、人生最大の幸福ですわね」

 


 シスターやボランティアが口々に喜びを口にしながら、


ダレム教会周辺の通り沿いや、教会内外のあらゆるところに、


クリスマス用の飾りつけを行っている。

 


 電飾付きのクリスマスツリーをはじめとして、


幼児から大人にまで人気のある可愛らしい電光キャラクター、


経済的に貧しい生活感が滲み出ている表情の人々の木彫り人形、


シスターが作ったアクリル人形やクッキーやパウンドケーキなどが、


教会全体を満たしていた。



 クリスマスムードを完全なものにして、幸福をそこに連れてきていた。

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