第3話 異世界?
そこは灰色の倉庫のような場所だった。
中央には錆びれた銀色の機体が鎮座し、俺は目の前の少女に懐から取り出した拳銃を突きつけていた。
「それで、お前はなぜここにいる?
お前は敵だろ?そう言ってたな。」
「ちょっとー!やめてよー!
撃ったら痛いよー!!」
「動くな!
質問に答えろ!!」
彼女は目を丸くして俺の震える拳銃を見た。
「んー、あたし新日軍に嫌気さしててー、
あっちの料理美味しくないし〜、
ていうかあたしもう身よりもないし、
こっち来ちゃおっかなって!!
んで投降して連行されてる途中に変な施設が爆撃されてて〜、
そこでゲンくんが変なロボに入ってくのが見えたから外からしがみついてたの!!」
「ああ!?しがみついて?
それで巻き込まれたのかよ、、、
よく無事だったな。」
この女の言う事がどこまで信じていいのかは分からない。
だが、俺に何か危害を加える目的なのであればこんな回りくどいことはしないはずだ。
もしくは俺の想像もつかない危害を加えようとしているのかもしれないが。
「、、、ま、
そういうことにしてやんよ。」
CIOR越しじゃなかったら人なんて殺せるか。
「でここはどこだ?お前の話をまだ信じた訳じゃないが」
開いたシャッターの隙間を覗くと前の世界と余り変わらない光景が拡がっていた。
「ここが未来だって?」
「だから!未来でも別世界なの!」
俺がシャッターを腰を低くしてくぐるとユリカもそれに続いた。
瞳を熱くする白い光が体を包み、軍のキャンプの晴天と砂漠に焼かれるイメージが広がった。
しかし、全身を光の下に晒すと想像していたものとは雰囲気が違っていた。
辺りを照りつける晴天は変わらないものの、光を反射する砂漠はアスファルトに姿を変え、辺りのビル群もそれを手伝っていた。
もっともこの湿っぽい空気は変わらないが。
「元いた世界の次の世界だってんだろ?
でも見ろよ。
だいぶ雰囲気は違うがこんなにも人工物がある。
あ、人だ!人が通った!
灰のスーツに茶色の薄っぺらいカバンを持ってる!
ほら、なんでこんな前の世界と同じなんだ?
宇宙をやり直したら俺たちはナメクジみてぇな生き物になってるかもしれねぇし、
そもそも地球すら出てくるかもわからねぇじゃねえか。」
「なんだでろうね〜フシギダネ〜ユリカもお勉強得意じゃないからわかんないや〜」
はぁ、そりゃそうか。
コイツは自軍が嫌になって飛び出て、インフィニティにしがみついてきただけ。
そんな奴に、、、いやまて。
「お前、なんでここが次の世界だってわかった?」
俺が睨むとユリカは少し考えてから
「えーと」と始めた。
「そのー、うちのおとーさんがー!
すごい科学者でー!教えてくれたのー!」
「そんな何人も科学者の子供でたまるか!」
どう考えても嘘だ。
というかさっき身寄りがないって言ってなかったか?
「ほんとだモーン!私嘘つかないモーン!」
この女何か隠している。
だがそこを探るのはまだ難しそうだ。
俺はアスファルトに足をつけ、思い切って倉庫の外に出た。
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