第14話
「どうだったかい?」
エイミーと再会出来た翌日の夜。
執務室にジミルがやって来た。
激務が落ち着いて、閑散としていた執務室はリンゼとジミルしか居なかった。
「……ああ、ありがとう。おかげ様で気持ちを知れて、僕の目標は大きな物になったよ」
「そうか。で、どうだった?」
「何がだよ」
「だから、お姫様の抱き心地だよ」
「……そんな事、お前に教える義務はない」
「あれ? その口調だと、何もしていないのー? えー!? お前、おかしいんじゃない? 気持ちが通じ合った年頃の男女が二人きりで、一体何をしていたんだい?」
「昨日は姫様を僕の恋人にするのは早いと思っただけだ」
「凄いな。僕、今日からお前を尊敬しちゃう!」
「……そんな事より! 本気でルイス王子との縁談を潰したいんだけど。ジミル、ハンナ国で妹が侍女とかやっていないか?」
「あはは。生憎、僕にはおせっかいな姉が一人しか居ないんだ」
「ユリア王妃が絡んでいるのは分かっているんだ。そもそも、ユリア王妃が没交渉だったハンナ国のルイス王子とは、一体どういう関係だったのだろうか?」
リンゼは早速調べ始めたが、その答えはたった半日で答えが出た。
「なんだ、ユリア王妃はイギルに来る前はアグナ王国の妃だったが、元々はハンナの姫……ルイス王子と
考えなくても、ユリア王妃が持ち出した今回の縁談。ユリア王妃の縁故であるのは間違いなかったのだ。
ユリアは元々はハンナ国の姫であり、数十年前にアグナ国の第三王子の元へ輿入れした。
しかし、不幸な事故により、夫を無くし、跡継ぎの我が子を二人も亡くし、夫の喪が明けて一年も経たない内にこのイギル国の王妃になっていた。
どう考えても、この不自然な死別と婚姻に、ユリアには何か裏の顔があるのでは無いかと連想させられる。
リンゼは顔を上げて、好奇心旺盛な顔して級友を眺めて居たジミルに言った。
「ジミル、紹介して貰いたい人物が居る」
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