クリフ物語〜戦乱の倭国編〜
りょう
起:運命の出会い
プロローグ
俺の名は『クリフ』。
天歴一五九〇年、三月二十一日。それは突然だった。首里王国に
「おい、今すぐ戻ってくれ!」
小舟に乗る俺は、急いで戻るよう同乗者のスケサクに命じた。コイツは幼い頃からの家臣。何でも言う事を聞いてくれる。
「何を
ところがこの日に限っては断ってきた。
「何でだよ。わがままなのは自覚してるけど、両親や国民が戦ってるんだ。自分だけ逃げるなんて卑怯だろ」
父上の命令がなんだ。早く戻ってくれ。俺は力任せにスケサクの腰を殴り、オールを奪おうとした。しかし左手をバチンと叩いてきた。家臣でありながら、主君に手を上げるのかよ。クソッ、少し赤くなったじゃないか。
その時、
俺は思わず振り返ってしまった。叩かれた事も忘れ、首里王国の方に目をやると、全身の力が抜けた。
「嘘だろ。何で雷が……、何で何発も城に……」
目の前には雷が操られたように王宮や城下町に降り注いでいた。次々と火の海に変えていく光景が目から離れない。
俺は荒れ狂う波に揺られる小舟の上で『天は我に味方せず』と絶望し、変わり果てた故郷の姿に涙が止まらなくなった。
「ク、クリフ様。もはや国の滅亡は避けられませぬ。お辛いでしょうが、今は生きる事だけを考えましょうぞ!」
自分だって辛いくせに……。俺は
この日は皮肉にも俺の十歳の誕生日だった。俺は身に纏う
それから三日後、嵐を抜けた俺とスケサクは、首里王国から程近い『
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