suffer

僧侶uyu

prologue Since when?

通知音。これで本日6度目。階名で言えばラシドの三連符だろうか。不快でしかない。ラシド、ラシドと実に神経を尖らせる音を止めるべく、俺は重い体を起こした。消音、と書かれた丸いボタンを押す。ついでにオレンジ色の丸いボタンも押さねばならぬ。クソが。面倒にも程がある。


そう。通知音。スマホからでは無い。残念ながらこのスマホに頻繁に通知音を鳴らしてくれるような友達の連絡先は入っていない。先程まで鳴っていたあの音。点滴用の輸液ポンプからだ。そしてオレンジ色のボタンはナースコール用ということになる。点滴のルートに気泡が出来たらしい。ほんとにくだらない。


自分でもひねくれていると思う。通知音ひとつでここまでぐだぐだと考え込む。こんな小5は他にいるのだろうか。そう。俺は現在小学校5年生だ。ちなみに名前は大谷修斗。だが学校なんて行けてない。2畳半あるかないかのカーテンに囲まれた部屋で1日が終わるのを待つ。そんな生活をもう4ヶ月もしている。俗に言う入院というやつだ。


入院。正直に言えばすごく寂しいし、辛い。友達は何してんだろ。なんでこんな所で生活しているんだろう。てか友達って何よ。最近そんなことばかり考えてる。…そうだよ、なんでこんな所にいるんだ俺は。いつからこんな道を歩んでしまった?いや、誰が歩ませた?いつから俺はこうなった?いつからだい?なぁ?


思い当たる節はある。ほんっと。クソだな。何もかも。きっと…あの辺からなんだよ。きっと…


このゴミのような日々を送らなきゃならなくなったのは。



クソが。

世界を、人を、自分を、運命を呪う。そして嘆く。そしてまた思い出す。


あの日からのことを。


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