(短編) 『アスノヨゾラ』よもう来るな

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第1話 願い

「……朝か」

太陽の光で目が覚める

…鬱陶しい

僕自身一度起きてしまったら二度寝はできない体質なので渋々体を起こしてひとあくびする

「……はぁ……学校か」

めんどくさいの一言に限る

「来るなって……言ったのに」

僕の願いは届かず、今日もまた明日が来る

今日も願うことにしよう

「世界が今日で終わりますように」

……と


駅に来た

僕の家から学校までは結構遠く、電車を使わなければ遅刻する位置にある

この電車賃だけで年にいくらくらい取られているのだろう

学校も交通費くらいケチケチせずに出せばいいのに

……って

一番ケチケチしているのは他でもない、僕か


電車から降りて、通学路を進む

途中コンビニで買ったパンを食べながら進む

この辺まで来るとうちの学校の生徒がちらほらと見え始めた

みんな各々自由に登校している

友達と登校しながらだとか

恋人と登校しながら、だとか

一人の方が気楽でいいのにな、と僕は思ってしまう

まぁ、負け犬の遠吠えのようなものか


ようやく学校に着いた

これから8時間ほど勉強しなくてはならないが、億劫で仕方ない

でもやらなければならないことだからやらないと……

そう考えていると、僕はふと思う

……やらなければならないことってなんだ? 将来のため? 未来のため?

僕にとって、未来なんてどうでもいいことだ

夢はない、でなければなんで僕は生きている?

その考えの結論はいつもこうだ

「死ぬのが怖いから、生きるのか」

どれだけ世界に絶望しようとも、死が怖いから死ねない

でも、口から吐くのはいつもの言葉

「……死にたい」

その一言である


そうして授業が始まったわけだが、

退屈で仕方なかった

ほとんどの生徒は真面目に授業を受けている

僕のように机に伏せているのは一部である

この学校は案外緩い学校であるがゆえに、こうやって伏せていても怒られることはない

瞳を閉じる

段々と睡魔がやってくる

そうして僕は、眠りに落ちた


ようやく夕方になった

長かった、多少寝た時間もあったが、ほとんどが退屈な時間だった

家に帰る気にもならなかった

……僕は、本当に何のために生きているんだろう


「……流れできてしまった」

適当に歩いていたら屋上まで来ていた

空はオレンジ色に包まれていて、なんというか、綺麗な情景だった

「……ここから」

ここから飛び降りたらどうなってしまうのだろう

いや、死ぬか

落ちた瞬間の痛みはどれくらいだろう

落ちて死んだら、僕はどこに行くんだろう

かしゃん、とフェンスに手をかける

……無理だ、怖い

こうやって死ぬことに恐怖を感じているから、僕は自殺なんてできないんだろうなって、僕がそう思った瞬間だった

「駄目です!」

後ろから、がしっと手を掴まれた

「えっ?」

振り向くと、そこに……

知らない、少女がいた


つづく


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