第12話 理想の展開
それから、私とアイフォードはあらゆる手段で伯爵家の情報を集めた。
そしてそれを元に様々な対処方を考え。
「とうとう来たか」
そんなことを知る由もない伯爵家に人間がやってきたのはそれから数日後のことだった。
先触れも出さず、のうのうとやってきたという報告に、私は思わず苦笑する。
急に来て対策をとられない為の方策かもしれないが、仮にも騎士団長に対して問題な行動とはどうして考えないのかと。
本来であれば、そこに責任問題を問いたいところではあるが、相手は腐っても伯爵家で高位貴族に当たる。
「……仕方ない出るか」
「面倒なことは早めに終わらせましょう」
対応しない訳にもゆかず、顔を見合わせて苦笑した私とアイフォードは玄関へと歩き出す。
実のところ、伯爵家を追い返す口実については、私達はきちんと用意していた。
それを使えば、問題なく追い返すことはできるだろう。
……ただ、それを使ってもなお、必死に伯爵家は追い縋ってくるだろうことも知っていた。
最終手段もなくはないが、それに関しては正直まだ証拠不足だ。
よほどの事態でもない限り、切ることはできない。
厄介な現状に、私達はうんざりした態度を隠すこともなく、玄関を開け開く。
「これはこれは、アイフォード様突然の来訪にも関わらず、快く迎えていただき誠にありがとうございます」
……そして、次の瞬間笑顔で屋敷に入ってきたマイルズに私は思わず顔を歪めそうになった。
「……できれば先触れは欲しかったのですが」
「はは、そんな他人行儀名ことを言わないでください。我々は家族のようなものではありませんか」
我がもの顔でそんなことを告げるマイルズに、内心顔を歪めながら、私は思う。
この男が来ることは分かっていたが、できれば避けたかったと。
というものも、私が侯爵家で相対してきた人間もほとんどマイルズだった。
つまりマイルズは私の存在の恐ろしさをよく理解していて、間違いなく私を排除しようとするに違いない。
そのやりとりだけで私はうんざりしそうで。
「それでは早速少しお話をさせていただきませんか?」
……だからこそ、私の存在を無視してそんな言葉を告げたマイルズに、私とアイフォードは目を合わせることになった。
一瞬、私はその言葉を聞き返しそうになる。
しかし、今の状況は私にとって、望んでもない最善の状況だ。
聞き返して判断変えるなんて親切を行う必要もない。
そう瞬時に判断した私とアイフォードはにっこりと笑う。
「それでは奥にどうぞ。──二人でお話を聞かせていただきましょう」
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