それぞれの視点 柊佳那ver. - 95日目 -
今日も雛より早く駅に!
「残念でしたね。今日は雛の勝ちです」
「何でよ! こんなの勝負にならないって言ったの雛じゃない!」
「ふららん、かなが負け惜しみ言ってますよ」
「でも二人して私より遅いからな」
「ふららんも参加してるんですか。確かにふららんには負けましたけど」
「私ふららんとは勝負しないから! ふららんはずっと味方だしね」
「勝てないから勝負しないんだろ。私に勝てる要素ないからな」
「ねぇ雛、今日ふららん変よ。いつもはもっと優しいのに」
「そうですね。かなが分かるくらいですから相当ですよ。どうしたんですか?」
「どうもしてない。普通だ」
いやどう見ても普通じゃない。私だからわかる。雛もわかるくらいだから相当よ。学校行ったら相談しようかしら。
× × ×
学校に着いて思い出した。今日さーちゃんと健ちゃんいないじゃない。ふららんの事誰に言おうかしら。ココには絶対無理だと思う、難しいから。わたりんは多分深刻に考えちゃいそうだからあまり言わないほうがいいわね。光ちゃんは強引に解決しそうだから最後の手段ね。慎ちゃんはちょっと信用できないわね。光ちゃんのときも加担してたし。もしかして今回も? 後で問いただしましょうか。アオならちゃんとやってくれそうね。あでも雛がいるじゃない。先越されそうね。だったら私はふららんを徹底観察よ。ふららんは私より前にいるから見ててもバレないし先生にも気づかれない。うん、これで行くわ。
それで観察を始めたはいいんだけど・・・おかしなところなんて何もないじゃない。真面目にノートとってるし寝てもいないし。なのに何で今日は当たり強いのかしら。分からないわ。
そのまま昼休み、いつもだったらみんなで集まってお昼ごはんなんだけど今日はそうはいかない。
「ふららん、今日は私と食べよ。聞きたいことあるから」
「ああ、まぁいいけど」
「かな一人では心配ですので雛もお供します」
私一人で解決して雛に自慢してやろうと思ったのに。それに引き換えココたちはいつも通りね。マナが昨日からうるさいくらいかしら。
人に言えないことを話すのにぴったりな場所、私たちの部室に来たわよ。さてと
「ふららん、聞かせてもらおうじゃない」
「・・・何のことだ?」
「とぼけても無駄よ。ふららんいつもより私たちへの当たり冷たかったじゃない。何かあったんでしょ?」
「いや、何もないけど」
「そう、言うのが恥ずかしいのね。でも大丈夫よ、雛はともかく私は信用してくれていいから」
「かなの方が信用出来ませんよ。色んなところでヘマしてるじゃないですか」
「はぁ? アンタよりはヘマしてないわよ」
雛と話してる場合じゃないのに。つくづく嫌なやつね。私より小さいくせに。
「うーん・・・本当に何もないんだけど」
「じゃあ何で今日はいつもより冷たいのよ」
「特に意識してなかったな。それでもし傷ついたのならごめん」
嘘でしょ。何もないの? 私の思い過ごしだったっていうの?
「全くこれだからかなは。早とちりも大概にしてほしいですね」
「あんただって心配してたじゃないの!」
でも本当に何もないんだったらそれでよかった。余計な心配だったってことよね。
「でもそうだとするとふららんの言動が少し変わったということですよね」
「それはあるかもしれないな。周りが賑やかだったら影響を受けることもあるだろうから」
「賑やかどころじゃないわよ」
「そうですね。うるさい人もいますね。かなとかココさんとか矢島さんとか」
「何で私もそっちに入ってんのよ!」
「ほら、そういうところですよ」
本当に雛は私の癇に障ること言ってくるわね。懲らしめてやろうかしら。懲らしめるだったら光ちゃんよね。雛とあんな風に言い合える人なんか他に知らないから。
× × ×
放課後、今日は人数少ないわね。昼間一緒だった3人しかいないじゃない。
「皆さんお助けをー!」
マナがいたわ。これ昨日雛にもやってたわね。ぎゅっとしないでほしいわ。
「仕方ないですね。一緒にやりましょうか」
教えるのはふららんがやってくれるから大丈夫でしょ。私は自分の勉強に集中! うっ、わからないところが・・・。ふららんは今マナに教えてるし。雛にだけは頼みたくない。どうしよう。
「どうしましたかな。わからないところでもあるんですか? ペン止まってますよ」
「・・・仕方ないから教えてもらうわよ」
「賢明な判断ですね。かなにしては」
「いっつも一言余計なのよ!」
まさか雛から教わることになるなんて。でも背に腹は代えられないわ。じゃないと点数でも勝負でも負けちゃうから。それだけはなんとしてでも避けないと。私に教えたことを後悔させてやるんだから。
この後は特に何もなかったわね。そういえば今日は文実の集まりがあってみんないないのよね。もう文化祭の話が出ているの? 早くない? これじゃ夏休みも使ってしっかり準備しろって言ってるようなものじゃない。でも文実でちゃんとやってくれそうなの慎ちゃんとわたりんしかいないわ。ココは絶対空回りしそうだし光ちゃんは言っちゃ悪いけど何するの? って話よ。出来ることと言えば場所の提供くらいね。まぁいいわ。文化祭のことは任せて今は勉強に集中!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます