本田咲彩

本田咲彩 - 65日目 -

 今日も雨。何でも昨日梅雨入りの発表があったらしい。


「おはようございます」


 今日お出迎えがあったのは昨日と同じ面々。七瀬はしばらく来ることが出来ない。でもそれをネガティブに受け取っている人はいないようでよかった。そうだ、七瀬は帰ってくる。だから俺たちは普通に過ごしていればいい。心配する必要はない。


× × ×


 今日一日は咲彩の周りにいる取り巻きについて注意深く見ていた。まぁ俺は見えないから他の人がやっていた感じだが。その情報交換のために昼、アトリウムへと集まった。


「それで、現状はどんな感じだった?」


 佐藤が最初に聞いた。やっぱりほっとけないんだな。


「はい、今日もいますね。完全に囲っていて入る余地がありません」


「委員長も注意したんだけど言い返されちゃってるし」


 さらに詳しく聞いてみたところ移動教室、トイレ、昼、部活に行くまでの道中、全部を通してついてきているらしい。そして話していることはやはりSAKU-KAYOのこと。咲彩も時々答えてはいるが完全に4人の熱に飲み込まれているという感じだ。こっちから咲彩に話しかけるのはもちろんダメ。逆に咲彩から他の人に話しかけようとすると「こんなやつと話さないで私たちと話しましょうよ」みたいな感じで途中で遮られるらしい。だからクラスの人もあの4人がいないわずかな時間を使って咲彩とやりとりしている。めちゃくちゃタチ悪いな。


「ふーん、これはなかなか面倒そうだな」


 慎の言う通りマジで面倒。慎が言うってことはよっぽどだぞ。解決の糸口が見えない。


「そこで考えたのですけど、矢島さんの案悪くないと思います」


「え? あんだけ反対されたのに?」


「そう、でも改善の余地あり。ということで放課後、光ちゃんの家で作戦会議ね」


「おー! なんか楽しそう!」


 楽しくねぇよ。何でうちでやるんだよ。もう何かあったらうちに来るのやめません?


「ふららん、今日部活お休みしますけどいいですか?」


「うん、でも聞いた感じだと私も休んだ方がいいでしょ」


「そうですね。では後で先輩に言いに行きましょう」


「ねぇー。私もいるんだけどー」


 ついに尾鷲も柊をいじり始めた。いや、多分前々からこんな感じだったのだろう。だからだな、ちょっとくらいひどいことされても絶交だ! ってならないのは。

 ということでうちで作戦会議になった。慎と佐藤は部活だから参加できないけど残った俺たちでつめますか。あ、ちなみに作戦会議の中身は企業秘密ね。だってここで言ったらネタバレになるから。でもこれだけは言えるな。根回しが大変だ・・・

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