第49話 いよいよログハウス!(1)

 木材を集めるのに、結局1週間ほどを費やしてしまった。

 何せ、できるだけ同じ種類の木のほうがいいだろう、と思ったもので、ついつい、選ぶのに時間がかかってしまったのだ。

 そんな私の苦労を労うかのように、『ヒロゲルクン』のバージョンアップ通知が来た。

 当然、しない、という選択肢はない。


「おおおお!」


 あんなに面倒だった枝払いが、メニューに追加された!


「神様、イグノス様、ありがとう!」


 思わず一人叫ぶ私。

 これで、ログハウス作成までの時間が、思い切り短縮される!

 他にも『採集』というメニューがあった。マップで範囲指定して、その範囲内に果物や木の実、素材となるような石などを収集することが出来るらしい。

 しかし、今の私はそれどころではない。ログハウス建設始動なのだ!


「え、じゃ、窓用のガラスも買ってこなきゃ」


 念のため、『タテルクン』でログハウスのメニューを開き、必要となる素材を確認しようとして、『タテルクン』までバージョンアップできることに気が付いた。


「え、これバージョン上げると、何が変わるの」


 そこで迷う。『収納』と『ヒロゲルクン』でKPを大分使ってしまった。ここで『タテルクン』でバージョンアップして、ログハウスを建てるのに足りるのだろうか。


「……いや、たぶん、いけるでしょ」


 今使ったとしても、何かしら自動で増えてるんだから、今日が駄目でも、数日あれば建てられるかもしれない。


「よし、バージョンアップっと」


 ……私の選択は間違っていなかった。


「よっし! ログハウス2階建て、暖炉付き、ゲット!」


 今までのメニューでは、ログハウス2階建て、風呂・トイレ付きまではあった。今回は、それに暖炉までついてきたのだ!

 正直、冬場にここがどれだけ寒くなるのか、予想もつかなかったのだ。暖房も、電気があのソーラーパネルしかないし、灯油なんて、毎回ガソリンスタンドに行かなきゃいけない? と思っていたのだ。


「しかし、木材とガラスの他に、レンガも追加になってるわ……それも200個!?」


 もう私の軽自動車とかじゃ、運ぶの無理じゃない?


「そこは稲荷さんにでも、手伝ってもらおうかなぁ……」


 そして気になるKPなのだけれど……え、2割引きって、何。初回限定とか、書いてあるし。絶対、イグノス様がやっている気がする。

 そんだけ、私にここに居付いてほしいってことなんだろうけれど。


「だったらせめて、半分とかにしてほしいわ」


 そう呟いたけれど、2割引は変わらなかった。やっぱり、イグノス様はケチである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る