第47話 伐採、伐採、伐採!
稲荷さんから強力なアイテム(と思われる)カウベルをゲットした。
私はカウベルを腰に下げながら、タブレットを片手に、テントの裏の山の斜面を上り始める。最初の緩やかな傾斜のあたりは、すっかり間伐してしまって、けっこう日差しが入ってきている。
今日から、本格的に木材集めをしようと思って、念のため『収納』のバージョンも上げた。ワンランクどころか、ツーランクほど。万単位でKPを使っても、日々馬鹿みたいに増えているので、使っても使っても減らない。
もう、これ以上考えるのは止めた。
20メートルほど進むと、そこからは傾斜がきつくなり、まったく間伐していないから鬱蒼とした木々が集まっている。下草は生えていても、それほど高く育っていないのは、日差しが入ってこないせいだろう。
私は目の前に立つ、かなり立派な木に手を触れる。
「さて、この辺りからやりますかね……『伐採』」
そう呟くと、触れていた木が切り株だけを残し、一瞬で消えた。
「……ほんと、異世界って凄いわ」
感心しながら、めぼしい木をどんどん『伐採』していく。
その間、歩くたびにガランガランとカウベルの音が鳴る。うるさいといえばうるさいんだけれど、安全のためには、仕方がない。
鳥の鳴き声が響く。獣の気配は感じない。いても、感じ取れるかは微妙だけど。
「うーん、この辺はこれでいいか……むしろ、トンネルとか湧き水に行く道あたりをもう少し伐採したほうがいいかな」
一応、トンネル側にはガーデンライトも刺してあるけれど、もう少し木を切ってあげたほうが、太陽光が入るようになるのではないか。
ということで、タブレットをバッグに入れ、草刈り機を手に取り、トンネル側の道へ。
普段は車で通り過ぎるだけだったから気にしてなかったけれど、けっこう木が密集していた模様。昼間だから気にしてなかったけれど、ガーデンライトの明かり、もしかしたらだいぶ薄暗いんじゃなかろうか。
私は少しでも日の光が入ってこれるようにと、木を選んでいく。
「えーと、これとこれを『伐採』っと」
高い木が、どんどん収納されていく。切り株だけは残るので、そこからまた芽が出てくるかもしれない。それでも、かなり時間はかかるだろうけれど。
ついでに少し枯れ始めている草を、草刈り機で刈っていく。
ちなみに、草刈りも『ヒロゲルクン』のメニューにあったりする。しかし、これもKPがかかる。でも、草刈り機があるわけだし、自力でやればポイントとして加算されると思うと、ついつい、草刈り機の方を使ってしまう。
……刈るのが面白いから……だけではない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます