第36話 洗濯機が欲しい!
翌日、空は見事に晴れ渡っている。
「ほんと、天気って違うのねぇ」
ぼけぇっとしながら空を見上げ、大あくび。
恐らく、今頃、あちらは台風直撃のはずなのだが、こっちはその気配などまったくない。不思議だなぁ、と思いながら、思い切り背伸びをした。
さて、朝食を準備しなくては、と思いながら車の後ろのドアを開ける。
昨日戻ってきてから、食料品だけを残して、全部外に出しておいたのだ。さすがに生ものはクーラーボックスに入れておいた。
不思議なことに、このクーラーボックス、すでに保冷剤が溶けきっているのに、少しだけひんやりしたままなのだ。こういうものなのかなぁ、と疑問に思ったけれど、もしかしたら、これも異世界仕様なのかもしれない。
今日も朝は目玉焼き。それに昨日食べきれなかった鹿肉。さすがに朝から塊では無理なので、薄くスライスしたのを2,3枚ほど焼いた。それに、あの高級調味料をふりかけて、スキレットで焼く。食パンを皿代わりに肉と目玉焼きを載せた。
想像してたのよりも癖がなく、ぺろりと食べてしまった。調味料のおかげもあるかもしれないけど。昨夜はもう少し厚切りにして食べたけれど、アレもアレで美味しかった。
「やっぱり葉物野菜、食べたいよなぁ」
インスタントのコーヒーを片手に、つい呟く。
コーヒーを入れたお湯は、あの湧き水からくんできた水だ。まだ溜まってないだろうと思いながら見に行ったら、むしろ溢れてしまってて、慌てて車を取りに行ってしまった。バックし続ける運転は大変、と、つくづく思った。
一応、今回は沸騰させているから大丈夫だとは思うのだが、念のため浄水器を用意したほうがいいかもしれない。確か、某テレビ番組で、大きな樽を使った浄水装置を作っていたはず。あれに似たようなものをペットボトルとかで作れないだろうか。
「台風が落ち着いた頃にでも、あっちに調べに行ってみようか」
生水でお腹壊したら、ここじゃ、誰も助けてくれなさそうだもの。
今日は天気もいいので、少し生地の厚めのジーンズなどのズボン類を洗濯しよう。Tシャツは下着とかといっしょに、お風呂に入っている時に洗ってしまえるのだけど、こういうのが簡単じゃないから困る。
一回だけ、管理小屋の洗濯機をお借りしたけれど、毎回借りるのも、申し訳ない。たまに来るというバイトの男の子たちの不審気な目も、居心地悪かったし。
「物干しも欲しいよなぁ」
今は、テントロープを使って、木と木の間に渡して、折り畳みのハンガーと小さなピンチハンガーで干しているけど、しっかりした物干し竿のほうが、重いのも干せるよなぁ。特にジーンズなんて、水で重くなるのが目に見える。
「ポータブル電源なんてのもあるんだし、洗濯機もポータブルなのってないのかしら」
ジーンズを手にして、げんなりしたのであった。
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