第21話 クラスのギャルは見つめ続ける
「それじゃあ私、先にクラスに戻るね」
「おーけー。俺は少し時間空けてから戻る」
「うん!」
俺は背中を向けて立ち去る莉々香を見ながら缶に残っていたコーヒーを一気に飲み干し、空き缶入れに放り投げると教室に向かいながら考える。
(いやー参った。まさか莉々香があんな事してくるとは思わなかったな。そういえば……嫉妬とかされるのも初めてのような気がする。けどまぁそれも当然か。今まで莉々香以外の女の子とあんなに話すことなんて無かったからなぁ……)
と、そこまで考えたところで予鈴が鳴った。
「おっと。急がないと。次は確か体育だったな」
で、授業が始まったわけだけど……ひどい。これはひどい。何が酷いかって言うと、男子の視線が久我さんに集まりすぎてる。
隠していた胸の大きさを隠さなくなったのだから見たい気持ちは分からないでもない。授業内容が持久走だから走って揺れるのを見たいのもわかる。それにしたって見すぎだ。
そしてその久我さんは俺の事見すぎだ。なにか特別にアピールしてくる訳でもないけど、ずっと俺の隣を走ってる。少しペースを上げて離れようとしても、すぐに追いついてくる。
「はっ……はっ……。私、持久走って苦手なんです……」
「……まぁ、疲れるもんな」
「いえ、そうじゃないんです」
「そうじゃない?」
「んっ……ふっ……は、はい。その……胸が揺れて痛くて……」
「…………」
「今までは押さえつけてたから少しは大丈夫だったんですけど……」
「…………」
「今日はそうじゃないので。ほら、見てください。こんなに揺れるんですよ?」
「…………」
訂正。めちゃくちゃアピールしてくる。横目で少し見てしまったけど、確かにそこまで揺れてると痛そうな気がする。だけど、そんな事言われて俺にどうしろと……。
「真峠君……胸を支えてくれませんか?」
「ぶっ! な、なに馬鹿な事言ってんだ!?」
「二割程は冗談です」
それ、八割本気ってことだよな? 勘弁してくれ。
とりあえずこれ以上相手にするのはやめよう。違う意味でも疲れそうだ。
走ることに集中しないと──
「ねぇ莉々香ちゃん、久我さんって絶対アイツの事好きじゃない?」
「え〜? まっさかぁ〜! 莉々香はそうは見えないけど?」
「絶対そうだって!」
「ま、まままままさかぁ!」
「莉々香ちゃん? なんか目が怖いよ?」
背中にすごい視線を感じる。絶対莉々香だ。あ〜これ、帰ったらまたなにか言われそうだな。部屋でさっきみたいに迫られたらヤバいんだけど……。
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