第20話 クラスのギャルは嫌われたくない
「は……はぁ!? なんでいきなり胸を触る話になるんだよ! しかもここ外だぞ! ──っ!?」
とんでもない事を言いながら迫ってくる莉々香は、押しのけようとする俺の手を掴むと自分の胸に近づけていく。普段の姿じゃなくてギャルの格好だから妙に扇情的に感じてしまうけど、それでも中身はあの恥ずかしがり屋の莉々香だ。きっと冗談で言ってるはず、すぐに手は止まるはず。そう思ったのに、
「ほ、ほら、もう少しで私のおっぱいなんだから……」
莉々香の手は止まることなく自身の胸に向かっていく。
「ちょっ! やめろって! なんでそんなことを!?」
「……触りたくないの? いっちゃんいつも見てたでしょ? お風呂上がりとか。触りたいんだよね? 私が恥ずかしがりすぎて、今までキスだけしかさせてこなくてゴメンね? これからはいつでも好きなことしていいから」
莉々香は俺の質問に答えずにどんどん胸に近付けていく。そしてあと数ミリで触れるってところで俺は力いっぱいに振り払った。
「やめろっ!」
「な、なんで……? 触りたくないの? それとも羽衣ちゃんの方がいいの?」
莉々香は振り払われた自分の手を見たあと、泣きそうな顔のまま俺を見上げてくる。
「そういう問題じゃねぇんだよ! 触りたいとか触りたくないとかじゃなくて、まず場所を考えろ! あと久我さんは関係ねぇからな? あっちが勝手に言い寄ってきてるだけであって俺はなんとも思ってねぇから。それに向こうが何をしてきてもおれの気持ちは動かないっての」
「……ホントに? 私がまだエッチなこと出来なくてもても嫌いにならない?」
「はぁ……。こんなんで嘘ついてどうすんだよ。そしてそんな事で嫌いになんてなるわけないだろうが。こっちは何年片想いしてたと思ってんだよ。それくらいの我慢は余裕だっての」
「が、我慢はやっぱりしてたんだ……?」
「まぁ、そこはやっぱり俺だって男だからな? ましてや莉々香は可愛いしスタイルだっていいんだ。そんな気持ちを抱かない方がおかしいだろうが」
そこまで言うと莉々香は顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「う、嬉しいけど……。部屋で普段そういう目で見られてたと思うと恥ずかしくなってきた……。で、でもでも! それならやっぱり触りたいんだよ……ね?」
「当たり前だろ?」
「ぴぃっ!?」
なんだよその声は。どっから出した。
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