豆代田他 名将たち5

豆代田とうだいでん代人だいじんだ。拓跋嗣たくばつしの時代にその騎射の腕を買われ、內細射ないさいしゃとなった。おそらくは祭祀ごと周りで弓矢を放つ時に名手として引き合いに出されたのだろう。拓跋嗣晩年の虎牢ころう攻めに従軍。拓跋より直々に望楼の上から敵を射殺すよう命じられた。放たれた矢は、一本たりとて敵を外すことがなかった。奚斤けいきんとともに前鋒として攻め入り、ついには劉義隆りゅうぎりゅうの配下將、毛德祖もうとくそやその副官たちふたりを捕らえた。この功績から內三郎ないさんろうとなった。450 年代前半に死亡。侍中じちゅう安東大將軍あんとうだいしょうぐん長廣王ちょうこうおうを追贈され、きょうと諡された。


周觀しゅうかん、代人だ。驍勇にして怪力、常に陣中にあり、誰よりも先に敵陣への攻撃に参加し、乗り込んでいった。これらの功から軍將長史ぐんしょうちょうしとなり、間もなく軍將となった。将軍よりやや低い地位、下士官的な立ち位置と考えればいいのだろうか。赫連勃勃かくれんぼつぼつ攻めでも功績を挙げ、安川子あんせんしに封じられ、北鎮軍將ほくちんぐんしょう。となった。

拓跋燾たくばつとうが即位したとき、,柔然じゅうぜん討伐に従軍。軍功を挙げ、都副將とふくしょうとなり、雲中うんちゅう鎮守となった。やがて平南將軍へいなんしょうぐん秦州刺史しんしゅうししとして南方守備の任につき、爵位も金城公きんじょうこうとなった。とは言え任地での民衆慰撫に失敗、地元民の薛永宗せつえいそうが兵を集め、汾曲ふんきょくにて反乱を起こす。周觀は薛永宗討伐に向かったが、戦闘中の流れ矢に当たってしまう。

反乱鎮圧がままならないうちに、拓跋燾が蒲坂ほはんにまで出てきた。周觀は拓跋燾の到来を聞き、恐れおののいて立ち上がろうとしたが、傷口が開き、ついに死亡した。拓跋燾は周観の不甲斐なさに怒り、その爵位を剥奪した。




豆代田,代人也。太宗時以善騎射為內細射。從攻虎牢,詔代田登樓射賊,矢不虛發。與奚斤前鋒先入,擒劉義隆將毛德祖并長史、司馬三人。以功遷內三郎。興安中卒。贈侍中、安東大將軍、長廣王,諡曰恭。

周觀,代人也。驍勇有膂力,每在軍陳,必應募先登。以功進為軍將長史,尋轉軍將。擊赫連屈丐有功,賜爵安川子,遷北鎮軍將。世祖即位,從討蠕蠕。以軍功進為都副將,鎮雲中。出除平南將軍、秦州刺史,復爵金城公。撫馭失和,民薛永宗聚眾於汾曲以叛。觀討永宗,為流矢所中。世祖幸蒲坂,觀聞帝至,驚怖而起,瘡重遂卒。世祖怒,絕其爵。


(魏書30-11)




やだー! 周観さんめっちゃ面白いじゃないですかーヤダー! 何なんすかその謎の官位! 多分このへんって鮮卑官爵の漢語訳ですよね! こういった断片的情報からしか摂取できない栄養がある。


そして豆代田の追贈が地味に王。拓跋珪時代ではそこまで大きな働きはしなかったけど、拓跋燾の時代に至って凄まじい功績を上げたようですね。けど扱いが小さい。


次巻のうりってくんで、将軍たちの話がいったん落ち着くんでしょうかね。

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