冬木立の森に
真砂 郭
シルフィード
どうしてあんなに素晴らしい
どうしてこんなに素敵なの
あの日の記憶はそう綴る
もうそんなことがあったのか
誰にもわからない
わたしも知らない
あの日の私はもういない
日記の中にいるだけの
わたしという名の赤の他人
誰かが教えてくれる
アナタが教えてくれる
半透明の輪郭線
触れてわかる
触れたら分かる
アナタの綴る
わたしの指先の気配
カップのぬくもりだけが
わたしの記憶なら
アナタの思い出が何処にある
此処にあると心臓に
心は宿る
右心房に左心室
血は巡り
心は巡る
冬木立
寂しいなんて言わないわ
誰もいないのよ
誰も来ないのよ
木々の間に間に鳥は鳴く
アナタはその声を知らないの
わたしは泣いている
木立ちの囁く並木道
風の歌
鳥の声
真昼の寒さを感じては
二人のぬくもり思い出す
灰色の淡いトーン
それは雲なのか空なのか
輪郭線のない世界の空へ
記憶の私は
半透明の輪郭線
想い出すらも溶けてゆく
滲んで霞む日記の言葉
もう読めないなら私はいない
幸せという言葉が頁の中に
言葉が綴れば
其処にはないけど
忘れはしない
アナタの面影
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます