第24話 子鬼のひみつ
私も三橋君もそれこそ狐につままれた?という言葉がぴったりの感じで、気づけば家まで帰ってきていた。でも、ほんの少しだけど、心の中に何かが生まれたようなそんな違和感が残っているのだけは、気づいた。それは、三橋くんも同じだったみたいだ。
家では、私たちがぼーっとうつろな目をして帰ってきたことで、ちょっとした騒ぎになった。とりあえず、狐仙女さんが、かいつまんで説明してくれたので、とにかく何もせずにお風呂に入った。
「ふー。疲れた…。今日は、もう何にも考えたくないな~。」
バスタブに顔をうずめてブクブクと潜って考えていたら…。ドカドカドカッと子鬼が風呂に乱入してきた。手に金棒もどきの棒をもって。
「ゆか~。きたじょ。げんきになるじょ。」
「子鬼。心配してきたの?」
「そうだじょ。ゆか、へんてこなかおだじょ。」
「そうか~。へんてこか。」
こくこくと頷いてから、ざぶーんとバスタブに飛び込んでくる。
「しかたないな~。さ、頭でも洗うか。」
「あらうじょ。いっしょにアワアワたぷたぷっじょ。」
子鬼の頭を洗いながら、子鬼たちの帰り方も早く探してあげないとな…とそっちも考えなくちゃいけないことに改めて思った。
「そだな。でも、子鬼、お母さんに会えなくて寂しくないのか?」
「だいじょぶじょ。たぬきちいる。ゆかもいる。ままんもいる。ぱぱんもにいにいもいる。」
「そっか。でも、帰り方見つかったらちゃんと帰るんだぞ。あっちのママンも待ってるだろうし。」
「うん。だいじょうぶだじょ。いつでもかえれるじょ。」
「へ?なんて?帰れるってどういうこと?」
こくこくと大きく頷いたからどうやって、帰るのかと何度も聞いたが子鬼は、歌を歌って会話にならなかった。お風呂から上がって、子鬼の頭をタオルで拭きながら河童さんを呼びつけた。
「ちょっとお母さん、河童さん呼んできて。」
「なあに?急に。ちょっと待ってて。」
母がパタパタとプールに向かって走っていく。呼び出された河童さんは、くつろいでたのになんだと言わんばかりの顔でやってきた。
「ねえ。河童さん。もしかし、帰る方法見つけたの?」
河童さんは、何のことだと目を見開いた。
「どういうことだ?帰ってきてからおかしいぞおまえ。」
「ちがうわ。子鬼が今、お風呂の中でいつでも帰れるって言ったのよ!!」
「は?」
これには、横から母も会話に入ってきた。
「本当なの?子鬼ちゃん?」
子鬼は、キョトンとして、『ひみつじょ。』と首を傾げた後、『眠い』と言ってトコトコと自分の布団に潜り込んで寝てしまった。全員が唖然として、いったいどうなっているのか?となったのは、いうまでもなく…その夜がすぎていった。
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