どれだけ強くとも孤独は怖い。
糸守 朱知。
都市国家連合国編
1.始まりのゲーム
統一歴XXXX 年 VRMMORPG『ダイングフィールド』が爆発的にヒットした。
既存のVRMMORPGとは一線を画していた。
現実の世界と戦闘系ファンタジー空間を綺麗にまとめあげ、多くのやり込み要素があった。
様々なジャンルのゲームに対応しているイベントも多数存在したこのゲームは幅広い層から絶大な支持を集めた。
戦闘がしたいもの、育成がしたいもの、パズルがしたいもの、RPGがしたいもの、銃を撃ちたいもの、レースがしたいもの、料理がしたいもの、恋愛がしたいもの、殺人がしたいものは皆このゲームをプレイした。
現実世界で出来ないことが出来る空間は世界中の人々を虜にした。
この世界には現実と異なり法律がない。違法という概念すら存在しない。
ダイイングフィールドは“自由”をコンセプトにプレイヤーがやりたいことをなんでも出来るゲームだった。
しかしこのゲームの性質上、唯一にして絶対のルールが存在する。
それが『終末戦争』である。
この『終末戦争』はその名前からも簡単に想像できるように、必ず戦わなければならない。
そして戦いにはいくつか種類が存在する。
1V S1で戦う個人戦。
大人数で無差別で戦う乱戦。
大人数でチームを作り戦うクラン戦。
クランを国に昇格させ、国と国とで戦う国取合戦。
戦いは暴力を用いるものが主になるが、この世界にはなんでもあり得る以上、知能戦や人気合戦といった少し変わった戦いも存在した。
戦いの報酬は個人戦、乱戦、クラン戦、国取合戦と規模が大きくなるほど増えていく。
そして当然負けた時のリスクも相応に大きくなる。
巷では月に一度、月の終わりに行われる強制イベントを揶揄し「月末戦争」とも呼ばれていた。
またダイングフィールドが一気に有名になった理由の一つとして強気なペナルティが挙げられる。
なにせこの『終末戦争』を棄権したり、その期間ログインしなければその月のデータは抹消されてしまうのだ。
ゲーム内においてデータはプレイヤーが活動した記録であり、生きた証、命と言っても過言ではない。
それが消されてしまうのだ。この制度は現実世界で物議を醸し、メディアなどでも大きく取り上げられた。
このペナルティを批判するものもいれば、やり込むのに覚悟が必要で面白いなどの肯定的な意見もたくさん出た。
運営はダイングフィールドのリリース時からこのペナルティだけは一度も修正をしなかった。
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