第18話 強者と弱者
「最近、どうなんだ?」
自販機で缶コーヒーを買いに行っていった航が、戻って来て最初に言うのだった。
それを聞いた想太は、一瞬ビクッと体を震わせて困った顔をして言うのだった。
「……あっ、あぁ…………その、まぁ勉強は相変わらずって所だよ。大学もいちようそろそろ進路決めないとなぁって思ってるところだ」
想太は、缶コーヒーのプルタブを開けて上からグビッと飲むのだった。
その様子を隣で見ていた航は、缶コーヒーに口をつけようとして……やめた。
「……勉強じゃなくて、部活はどうなんだ?」
「……!?」
想太は、コーヒーを飲みながら思考が止まりかける。……液体が、彼の喉をすらっと通り抜けて、むせてしまいそうになる。
なんとか、むせないように我慢した彼は、慌てた顔で言う。
「ぶっ、部活!? え? えっと、まぁ……その…………」
想太が何かを言いかけた所で、航の表情が急に暗くなった。
「……行ってないんだよな」
「え?……」
「……別に隠す事でもないよ。やめたいのなら、勝手に辞めればいいさ。別に強制はしない」
航は、そう言うとベンチから立ち上がってコーヒーを一気に飲み干して、近くにあったゴミ箱の中に放り込んだ。
「……ただ、まぁ。その程度だったんだなとは、思うよ…………」
そう言うと、彼は荷物を持って帰って行こうとした。
――なんだよ。……その冷たい顔は……。
想太の心の中から何かが沸き上がっていくのを感じる。何とも言えない怒りのようなとげとげしたもの……。
彼は、気づくと言っていた。
「……その程度、だと? お前に何が分かるんだよ! 学校も違う癖に……」
「あぁ、違うよ。けど、まぁ……今の想太は全然怖くないからさ」
「怖くないだと?……」
「……昔は強かったからさ、バスケで戦うとなると多少は怖いと思ってたよ。けど、今は違う。……今の想太は、全然怖くなんかない。こんな途中で諦めてしまうような根性なしに負ける気はしないなぁ……」
航が、冷たい目線で告げると想太は、我慢できなくなって立ち上がる。
すると、想太はベンチに置かれたバスケットボールを航に突きつけて言うのだった。
「……言ってくれるじゃねぇか。雑魚だったくせに……。そんなに言うのなら、俺と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます