第178話 人道的

調査団の斥候‥。


最悪な人に聞かれてしまった。


どうする?


「殺す?」


冥王さんが選択肢の一つを口にする。


斥候の女性の瞳には涙が浮かんでいた。


「殺す以外の方法はない?」


ダメ元で冥王さんに質問する。


「‥‥‥ある。

 脳を少しだけいじる。」


斥候の女性が脳というキーワードを聞いて毛を逆立てる。


「さっき聞いた事を忘れるって事?」


そんな都合の良い方法があるのかと歓喜しようとするが‥。


「うん、全てを忘れる。

 自分の名前すら忘れる。

 廃人?」


いやいや、最後に可愛く言われても内容がエグいよ。


さすがにそれは人道的に‥。


「殺さないで‥。」


斥候の女性がボロボロと涙を流す。


困った、調査団の他の人がくるかもしれないし‥どうすればいいのか‥。


良いアイデアが浮かばず汗が止まらない。


そんな時、救世主の声が聞こえる。


「またしても変な状況のようですね。」


執事さんがヤレヤレと手を広げながら近づいてくるのであった。

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